善と悪の経済学―ギルガメシュ叙事詩、アニマルスピリット、ウォール街占拠 の感想

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タイトル善と悪の経済学―ギルガメシュ叙事詩、アニマルスピリット、ウォール街占拠
発売日2016-07-01
製作者トーマス・セドラチェク
販売元東洋経済新報社
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購入者の感想

現代人はあまりに富の魅力に眩惑されている。(P.322)

2018年1月~2月放送の、NHKのEテレ「欲望の経済史 ルールが変わる時」という番組で、
インタビューに答えていたゼトラチェク氏の派手な手振りを交えた面白いたとえ話と、
個性的なファッションに目が釘付けになり、本書を購入した。
面白いたとえ話は、本書の本文の中でも健在で、巻末の注の方でも読むことができる。
説の繰り返しもあり、長く感じられるが、ポイントは5つあると思う。

① 経済学に倫理を取り入れよ。
今日の経済学では、日常生活で行われる経済的な活動の、何が善くて何が悪いのか、善は報われるのか、
言及するだけで異端扱いだ。
だが、どんな経済学も結局善悪を扱っている。
経済学はもともと道徳哲学に属していた。
倫理を無視している現代では、過去の書物で倫理を探すしかなく、ギルガメシュ叙事詩、神話、
旧約聖書、新約聖書、ギリシャ哲学、心理学…を読み直すことになる。
読み直すことで、今の思想や価値観の成り立ちが見えてくる。
人間の本質を探るのに、映画の「マトリックス」も登場する。
誤解を恐れて各文献の原文が引用されるため、長い引用文に読者はつき合わされることになる。
歴史や宗教、文明によって、何を善とするか悪とするか規範が変わってくるし、ゼトラチェク氏は、
幅広い文献から善悪を決める規範を紹介しているにすぎない。

② アダム・スミスの「見えざる手」、ケインズの「アニマルスピリット」の解釈の誤りを正せ。
スミスの「見えざる手」は、著作「国富論」中で一回、「道徳感情論」の中で一回、「天文学」の中で一回、
ケインズの「アニマルスピリット」は、著作「一般理論」の中で三回使っただけだ。
神秘性を帯びてしまっていることで、都合のよい意味に解釈してしまっている。
スミスの言う、「相互の共感の上に成り立つ社会倫理」、
ケインズの言う、「人間の不合理な性質と不確実性」は無視されている。

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