哲学の謎 (講談社現代新書) の感想

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参照データ

タイトル哲学の謎 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者野矢 茂樹
販売元講談社
JANコード9784061492868
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究

購入者の感想

 哲学入門の本は今までいくらか読んできたけれども、ここまで親しみの持てる本は少なかったように感じます。哲学関係の本の項をめくれば、必ずと言っていいほど難解な語句が嫌というほどちりばめられているものですが、この本はそう言った類いの文句はほとんどなく、安心してさらっと読みこなす事が出来ます。また、対談のような方式を取っており、タイトルの恐ろしく壮大なイメージとは違って、とても分かりやすいです。

 内容はごく身近な当たり前の概念や感覚を解剖して、いったいどこでそのような理解が生じるのかと原因の追求をしていく形を取っています。例えば、

 『夕日は私たちから見れば赤いが、人間が絶滅し赤を認識できない生物、もしくは私たちが認識できる以上の色を知る生物のみが生き残り夕日を見たとき、夕日は赤いのか?』

 といった認識の問題テーマから、規範の成立や言語の不確かさなど、それまで抱いていた価値観や世界観を大きく揺さぶられる興味深いテーマばかりです。哲学という言葉から感じさせられる学問臭さなど微塵もありません。

 一読に値するいい本だと思います。

 この本で、あつかっているのは、以下の9つのテーマです。

1.意識・実存・他者

2.記憶と過去

3.時の流れ

4.私的体験

5.経験と知

6.規範の生成

7.意味の在りか

8.行為と意志

9.自由

 9つのテーマについて、「〜とはなにか」と言ったアプローチではなく、

「地上かろいっさいの生物が絶滅したとするね。

 ーいきなり、なにさ。

 そのとき、それでも夕焼けはなお赤いだろうか。」

と、そんな対話から、日常で目にする事象を取り上げ、深く切り込んで行きます。

 語り口は平易ですが、切り込みは深く、対話について行くにはそれなりに労力を要求されます。哲学門外漢の私ですが、あつかっている内容は日常から見た「認識論」と言ったところでしょうか。

 先人の哲学者の解説書を読むのではなく、この手の「哲学のテーマ」を掘り下げた本というのも、読んでみると、なかなか刺激的でした。

 

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