現代思想 2014年7月号 特集=ロシア -帝政からソ連崩壊、そしてウクライナ危機の向こう側- の感想

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タイトル現代思想 2014年7月号 特集=ロシア -帝政からソ連崩壊、そしてウクライナ危機の向こう側-
発売日2014-06-27
製作者亀山郁夫
販売元青土社
JANコード9784791712823
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「現代思想」七月号の特集「ロシアー帝政からソ連崩壊、そしてウクライナ危機の向こう側」は、期待に違はぬ力作揃ひの作品群でとても満足しました。ウクライナ危機に伴ふ評論を探し求めても断片的、且つ、一方的な形で終ってゐるものが殆どでした。ウクライナ危機で特集を組んでゐるある雑誌があったので取り寄せて読んでみましたが、元ウクライナ大使による反米的ニュアンスの金融資本主義の陰謀でウクライナ危機がもたらされたとの論しか載ってゐませんでした。一つの仮説を大胆に述べる事は悪くなくとも、それだけに終始してゐる事に失望しました。それに対し、本誌「現代思想」では、ロシア、ウクライナに関係する国内外の十人以上の論客の文章を集めて成り立って居り、その多面性と考察の深みは驚異的なものがあります。ロシアにかなり同情的な人士も一部ゐましたが、それぞれの専門の持場からの考察の言葉はどれも的確、且つ、ヴィヴィットな表現に満ちてゐます。抑制された言ひ廻しの中で慎重に丁寧に述べてゐるのがとても印象的でした。その中でも、中央ユーラシア近現代史の宇山智彦によるロシアのクリミア併合について論考は秀逸でした。欧米、ウクライナが犯したかもしれない不正義があったとしても、それが今回のロシアによる国際法違反のクリミア併合、簒奪がそれに見合ふものとは常識的にはとても考へられない事を冷静に指摘してくれてゐます。全くの不条理そのものだと私には強く響いて来ました。米国の国際的なヘゲモニーの弱体化の流れを突いたロシアの「意趣返し」的な侵掠行動であった事を明らかにしてゐるのはさすがは専門家のコメントだ思ひました。更に、ロシアの行動原理が「ヨーロッパ」から「ユーラシア」といふ圏域思想による覇権を求める流れになってゐる現実論の論考が幾つもあったのは、新鮮な視点でありました。今回の特集が、一時的な現象として事態を捉へるのではなく、長いヨーロッパとロシアとウクライナの関係性の歴史の中から見据ゑて行く大切さを訴へてゐるやうで大変勉強になりました。

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