雨・赤毛: モーム短篇集(I) (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル雨・赤毛: モーム短篇集(I) (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者サマセット・モーム
販売元新潮社
JANコード9784102130087
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

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購入者の感想

途中で謎が解けてしまったが、雨が人間の精神状態に及ぼす影響について詳細な考察を加えた(本当か?)表題作はやはり本書の白眉。「赤毛」も途中で趣向が読めてしまったが、最後の一ひねりには脱帽。一番結末が読めなかったのは「ホノルル」であったが、最後は正直、「えっ、こんなのあり?」という感じであった。

「私自身が恐がっていて、どうして原住民たちに神様を信頼しろなどと言える?」(33~34頁)
「マクフェイル博士はじっと雨を眺めている。漸く神経がじりじりしかけていた。あのしとしとと降る英国のような雨ではないのだ。無慈悲な、なにか恐ろしいものさえ感じられる。人はその中に原始的自然力のもつ敵意といったものを感得するのだ。降るというよりは流れるのである。まるで大空の洪水だ。神経も何もかきむしるようにひっきりなしに、屋根のナマコ板を騒然と鳴らしている。まるでなにか凶暴な感情でも持っているかのように見える。人々は時々、これでまだ止まないなら、何か大声にわめきたてでもしなければいられないような気持ちになる。かと思うと、今度は骨まで軟らかくなってしまったように、急にぐったりとなるのだった。もうどうにでもなれといったみじめさだ」(56~57頁)。

それにしても、モーム(Maugham)はいい。作中の時間の流れ方が、評者の好みにはぴったりである。

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