打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? (角川文庫) の感想

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タイトル打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? (角川文庫)
発売日2017-06-17
製作者大根 仁
販売元KADOKAWA / 角川書店
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購入者の感想

岩井俊二さんの「少年たちは花火を横から見たかった」には小学生が初めて大人の世界に対面する際の一瞬の切ない感覚をスナップショットのように切り取って、十二分に描いてくれました。アニメ化されるにあたっての大根さんによるこのノベライズ版は、典道となずなにフォーカスし、小中学生の思い、特に男の子が女の子に対して抱くどう扱ったらいいのかわからず持て余してしまう心と、加えてそれを越えて踏み出していくこと、手を引いてくれる女の子の力、今日別れてしまってもその先に広がる未来への希望まで強く感じさせてくれる良作です。どんな方にもお薦めできます。
同じ富士山を描いた絵画に、One & Onlyな傑作が数あるように、岩井さんの小説を読んだ方にもお勧めしたい。(もちろん一方だけでもOK。補完関係にあるわけではありません。)
ただ、本書はアニメ映画と併せて鑑賞すると、それぞれへの理解は深まります。たとえば“もしも玉”のことやなずなの実父との関係はアニメだけでは見落としそうです。一方、典道となずなを包み込みながら未来への希望を感じさせた圧倒的な花火の美しさは、映像でこそ心全体を掴みます。
言葉を見つけられずに立ちつくしてばかりいた典道、「なんでオレが決めなきゃいけないんだよ」と考えていた典道が、「なずなはオレが取り戻すぞ」と自らの意思を固め、「目的地なんてわからなかった」けれど走り出し、なずなの「楽しみだね」に心から同意する。内容紹介や裏カバーには「恋の奇跡の物語」とありますが、決してありがちな物語ではなく、「典道のほのかな恋心が、絶望していたなずなに『楽しみだね』と言える希望を与え、二人で前を向けるように変わった一日の奇跡の物語」なのです。
アニメ映画の最後のシーンの意味が解らなかったのですが、この小説を読んで、きっと典道はこうしたに違いない想像でき、ニンマリしました。
唯一、不満はカバー絵です。綺麗ではありますが、この小説の美しさを切り取った構図はもっと別にあると思います。

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