ターミナルから荒れ地へ - 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学 の感想

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タイトルターミナルから荒れ地へ - 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学
発売日販売日未定
製作者藤井 光
販売元中央公論新社
JANコード9784120048333
カテゴリ文学・評論 » 評論・文学研究 » 外国文学研究 » 英米文学

購入者の感想

「今世紀に英語で創作する作家たちの多くは、かたやテクノロジーや移動が
生み出す世界、かたやそれと同時に進行していく不毛化という両極の絡み合いを、
どこかで鋭敏に察知している。そして、その荒れ地は、さまざまに形を変えて、彼らの
小説に登場する。作家たちは今、ターミナルと荒れ地の接点で創作しているのだ。
 アメリカの文学がある。その国境を越えれば、別の国で、別の言語で文学が
書かれている。その両者にまたがるようにして、『ターミナル+荒れ地』という拡大中の
場所があり、そこでの作家たちは『異物』としての小説を生みだすことで、彼らなりの
闘いを日々続けている。今、アメリカ文学を読み、それについて語り、さらに翻訳しようと
すれば、そんな世界に足を踏み入れることになるのだろう」。

「必読書」云々という仰々しい帯の文句とは裏腹に、本書はひとまずはエッセイとして
カテゴライズされるだろうテキスト、そしてこの驚異の「カリスマ翻訳教師」の仕事ぶりが
まずはコミカルな仕方で垣間見える。
 多作を誇りながらも、なんと氏の作業の大半は手仕事でなされている、という。
当然に襲う腱鞘炎、それでも時に「文章に体が中毒になったような状態になって、
手が止まらない」。
「そして翻訳もそろそろ大詰めという段階になると、不思議なことに、特定の音が脳内
リピートを始める。……特に翻訳の仕上げをしているときは、それ以外の音が
かかっていると気持ちが悪くなり、いっこうにはかどらない」。

 しかし、この翻訳者による語りという事態そのものが現代アメリカ文学を必然的に
反映せずにはいない。
 本書が取り上げる作家の多くは「英語を母国語としない……彼らも母国語と英語という
二つの言語を生きるなかで創作しているわけで、その点では翻訳者のいる場所に
ちょっと似ている。21世紀のアメリカで急増中のそうした小説は、英語に対する『異物』で
あることにこだわっているのだ」。
 このことは、「グローバル化/ターミナル化の裏をかくような、多様な『異物』の可能性」の

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