ラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで の感想

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参照データ

タイトルラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで
発売日2017-03-27
製作者大和田 俊之
販売元毎日新聞出版
JANコード9784620324418
カテゴリエンターテイメント » 音楽 » 音楽理論・音楽論 » ポピュラー音楽

購入者の感想

大和田俊之、磯部涼、そしてele-kingで筆を揮う新進気鋭の吉田雅史による鼎談本。
それぞれラップ・ミュージックやヒップホップ・カルチャーについての造詣が深く、また独自の批評眼を持っているだけに飽きることなく一気に読ませる。

とはいえ、トランプ後の世界をテーマに据えた第1章やそれを踏まえてアメリカのラップ・ミュージックの歴史について議論する第2章は時事的でフレッシュな話題やニュース、固有名詞が多く、こういった単行本よりはウェブメディアでの連載のほうが適していたのでは、と思う(あるいは雑誌とか新書とか)。
登場するニュースや固有名詞はアメリカやヨーロッパのメディアを見ていれば当然、その文脈も含めて知っている事柄ばかりだが、知らないひとにとっては「なんのこっちゃ?」となるだろう。
巻末にやたらと細かい注釈が付されているが、生年や数行の経歴のみで、これも意味があるのかどうか……(知らない言葉であればググるだろうし、とにかくシーンの全体への理解や文脈依存のものが多いのでイチから知る必要があるので、情報の切れ端だけ与えられてもよくわからないはず)。
度々言及される『ヒップホップ・ジェネレーション』と『ラップ・イヤー・ブック』を読んだほうが得るものは大きいと思う。

一方で日本のラップ・ミュージックを概観し、議論を深めていく第3章はかなりおもしろく刺激的だった。
ここを更に煮詰めたら画期的な日本ラップ論になりそうな……(現在、磯部涼は日本のラップ史についてcakesで連載を執筆しており、これがかなりおもしろい)。

鼎談だけではボリューム不足かつ議論も熟していないように感じたので、ディスクレビューや三者の論考も収録されていれば書籍としてより有意義なものになったような。
最後に、表紙のデザインはもうちょっとおもしろそうなものにできなかったのだろうかと思う。

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