原発棄民 フクシマ5年後の真実 の感想
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参照データ
タイトル | 原発棄民 フクシマ5年後の真実 |
発売日 | 2016-02-23 |
製作者 | 日野 行介 |
販売元 | 毎日新聞出版 |
JANコード | 9784620323619 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 核・原発問題 |
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購入者の感想
本書があぶり出すのは省庁や福島県といった組織の論理に拘泥する役人たちの「凡庸な悪」だ。本来主役であるはずの避難者たちは意見や思いをないがしろにされ、勝手に矮小化され、被害者として認められない。役人たちは責任や〝加害〟の自覚すら乏しい。
期せずして「マイノリティー」になった避難者の姿に、反ナチ運動を率いたニーメラーの言葉を思い出した。
「ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は共産主義者ではなかったから
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
私は社会民主主義ではなかったから
…
そして、彼らが私を攻撃したとき
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」
という。
「私は避難者でないから」と思っていても、凡庸な悪の暴走を許していれば、いつか牙は自分にも向けられるだろう。
筆者がどの程度意識したかは分からないが、周縁に追いやられる母子避難者に対して、登場する役人が全員男性であることも、この国のゆがみをよく表していると思った。
主題は原発だが、原発にとどまらず、国家のあり方や民主主義の欠如を鋭く突いた必読書。
怒りでいっぱいになり一気に読んだ。
期せずして「マイノリティー」になった避難者の姿に、反ナチ運動を率いたニーメラーの言葉を思い出した。
「ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は共産主義者ではなかったから
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
私は社会民主主義ではなかったから
…
そして、彼らが私を攻撃したとき
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」
という。
「私は避難者でないから」と思っていても、凡庸な悪の暴走を許していれば、いつか牙は自分にも向けられるだろう。
筆者がどの程度意識したかは分からないが、周縁に追いやられる母子避難者に対して、登場する役人が全員男性であることも、この国のゆがみをよく表していると思った。
主題は原発だが、原発にとどまらず、国家のあり方や民主主義の欠如を鋭く突いた必読書。
怒りでいっぱいになり一気に読んだ。