リスクと向きあう 福島原発事故以後 の感想
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参照データ
タイトル | リスクと向きあう 福島原発事故以後 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 中西 準子 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784120044502 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 核・原発問題 |
購入者の感想
著者の言う「リスクトレードオフ」は、
通常原子力発電の是非や放射性廃棄物の議論で
持ち込まれる「リスクと便益のトレードオフ」とは違います。
他の中西氏の本を読んだことが無いのですが、
この著書を読む限りでは、中西さんの議論ではリスクと別のリスクを
総和として考えて捉え直しています。
リスクと便益のトレードオフの場合だと、
リスクは便益に対する比率で考えられてしまうので、
リスクの大きさがそのままでも便益が大きくなれば良しとされる場合が多くあります。
若干意味はズレますが、
本書での浮間処理場という共同処理場での重金属の排水の問題などは、似た問題だと思います。
ここは自治体の公式発表では重金属の排水の濃度の低下を公表していたのですが、
中西氏が調査すると、濃度が低下していたのは水の量が増加していただけで、
重金属自体の量は低下していなかったそうです。
「リスクが下がる」ということがどう担保されているのか
気になったので著者の総和としてリスクを下げるという点には納得しました。
中川恵一さんの本なども引用されていて、
割けるリソースの大きさ(資金など)が有限のときに、
局所的なリスク対応(強制移住など)が
全体のリスク(健康被害)を却って増大させる場合を述べています。
このことについては、自分としては、そもそも被災者にとっては移住のリスクであれ放射線のリスクであれそれを黙って受けなければならない理由はないと思います。
現実は残念ながら究極の選択を強いられるようになってしまいました。
でもそれは、だからといって放射線被害は気にする必要がないとか、
リスクのトレードオフで我慢しなければならないというのは、
元々の事故という原因とそれに対する責任という問題が抜け落ちてるような気がします。
著者の中西さんがキエフのステパノーバさんという女医さんに子供の甲状腺癌増加の件について質問しているくだりで書かれていることは予想外でした。
通常原子力発電の是非や放射性廃棄物の議論で
持ち込まれる「リスクと便益のトレードオフ」とは違います。
他の中西氏の本を読んだことが無いのですが、
この著書を読む限りでは、中西さんの議論ではリスクと別のリスクを
総和として考えて捉え直しています。
リスクと便益のトレードオフの場合だと、
リスクは便益に対する比率で考えられてしまうので、
リスクの大きさがそのままでも便益が大きくなれば良しとされる場合が多くあります。
若干意味はズレますが、
本書での浮間処理場という共同処理場での重金属の排水の問題などは、似た問題だと思います。
ここは自治体の公式発表では重金属の排水の濃度の低下を公表していたのですが、
中西氏が調査すると、濃度が低下していたのは水の量が増加していただけで、
重金属自体の量は低下していなかったそうです。
「リスクが下がる」ということがどう担保されているのか
気になったので著者の総和としてリスクを下げるという点には納得しました。
中川恵一さんの本なども引用されていて、
割けるリソースの大きさ(資金など)が有限のときに、
局所的なリスク対応(強制移住など)が
全体のリスク(健康被害)を却って増大させる場合を述べています。
このことについては、自分としては、そもそも被災者にとっては移住のリスクであれ放射線のリスクであれそれを黙って受けなければならない理由はないと思います。
現実は残念ながら究極の選択を強いられるようになってしまいました。
でもそれは、だからといって放射線被害は気にする必要がないとか、
リスクのトレードオフで我慢しなければならないというのは、
元々の事故という原因とそれに対する責任という問題が抜け落ちてるような気がします。
著者の中西さんがキエフのステパノーバさんという女医さんに子供の甲状腺癌増加の件について質問しているくだりで書かれていることは予想外でした。