功利主義入門―はじめての倫理学 (ちくま新書) の感想

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タイトル功利主義入門―はじめての倫理学 (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者児玉 聡
販売元筑摩書房
JANコード9784480066718
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 倫理学・道徳 » 倫理学入門

購入者の感想

倫理学は功利主義と直観主義(義務論)の2つに大別されると言われるが、本書(『功利主義入門 はじめての倫理学』)は前者を中心とした倫理学の入門書である(ちなみに著者の児玉博士の専門は1功利主義者ベンサムを中心とした歴史研究、2生命・医療・健康問題に対する功利主義的研究、の2点である)。

新書ということもあって、中高生でも理解できそうな平易な文体・内容であるが、後半(特に著者の専門分野が絡む第5章)は本格的なトピック(例えば、個人の健康についてのリバタリアン・パターナリズム)をも扱っている。
こうした難しいトピックを易しい言葉で説明できるのは、児玉博士の高い学識と功利主義特有の明晰さが為せる業かもしれない。

功利主義(あるいは英米哲学)は日本人の多くが「哲学」と聞いて連想するもの(=大陸哲学)とは異なり、文学的修辞ではなく明晰な言葉を使い、誤解の余地が無い議論を目指す、という特徴がある。
そのため、読者によっては本書のような功利主義は「浅薄で深みが無い」と感じられるかもしれないが、数学のような明晰な議論を好む読者にとっては功利主義はひょっとしたら受け入れやすいかもしれない(実際、19~20世紀に活躍した現代英米哲学の創始者たちは現代数学やコンピュータ科学の創始者でもあったのだから)。

ちなみに、本書著者の児玉博士は『功利と直観―英米倫理思想史入門』も執筆されている。
こちらは大学生向けの入門書であるが、本書と同様に大変読みやすいので、(倫理学専攻でなくても大学生や大卒者であれば)本書よりも『功利と直観』を読むことを勧めたい。こちらは日本倫理学会和辻賞をも受賞しており学術的にも信頼が出来る、邦書としては最高の入門書である。
逆に、『功利と直観』を読んだ方は本書(『功利主義入門』)を読む必要はないだろう。本書の第6章以外の内容は『功利と直観』において丁寧かつより詳細に解説されているのだから。
そういった意味では、本書は『功利と直観』の簡易版と言えるかもしれない。

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