21世紀の自由論―「優しいリアリズム」の時代へ (NHK出版新書 459) の感想

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タイトル21世紀の自由論―「優しいリアリズム」の時代へ (NHK出版新書 459)
発売日販売日未定
製作者佐々木 俊尚
販売元NHK出版
JANコード9784140884591
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

購入者の感想

氏の圧倒的な教養と知識を背景に、丸山眞男(近代思想)から青木昌彦やトマ・ピケティ(経済学)、ホブズボームやウォーラーステイン(歴史学)、ミアシャイマー(地政学)、マイケル・サンデル(倫理学)、小林よしのり(漫画)までを引用しながら、洋の東西を問わず、ギリシアの民主制からネトウヨまで、あらゆる政治哲学の成り立ちを分かりやすく説明し、日本の政治家・メディア・文化知識人の(政治哲学における)知識の貧困をバッサリと切って捨て、不安定な21世紀を生き抜くための提言までするという、非常に充実した内容の本です。

自分で溜飲を下げるためだけに日本の衰退の原因をすべて在日韓国人、中国人に押し付けてヘイトスピーチを繰り返す在特会と、安倍晋三の写真にヒトラーをコラージュしたポスターを掲げて(これも一種のヘイトスピーチ)ヒステリックに「九条を守れ」と街を街を練り歩く自称「市民」たち、そのどちらにも「何か違うよな」と違和感を感じることができつつも、ノンポリに引きこもることなく、日本はこれからどうするべきか分からず不安を抱えながら自分のポジションを模索している人のすべてに読んで欲しい、非常に全うな提言が書かれています。

さらには著者の得意分野であるインターネットとソーシャルメディアに着想を得たあたらしい水平的・流動的なネットワーク社会が、これからの数十年の移行期を乗り切るための最善策である、と結ばれます。

副題は「『優しいリアリズム』の時代へ」とありますが、リアリズムこそが長年日本の政治とメディアに最も欠けて来た要素であるという点については、これ以上になく同意できます。右側の「すべて中韓が悪い」も、左の「安保法制は戦争法案だ」も、現実の極解と問題の矮小化でしかないのですが、こういう単細胞的な言説は思考停止している人々であっても考え無しに理解できるため、論理的には破綻しているにも関わらず多くの人に受け入れられ、幅を利かせがちです。

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