新宿二丁目の文化人類学: ゲイ・コミュニティから都市をまなざす の感想

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新宿二丁目の複雑な像を、セクシュアリティ研究・都市論・歴史学などを交差させ、重層的に描き出した力作。ゲイを公言する文化人類学者の著者ならではの発想、鋭い観察が随所に光る。

博士論文に基づく書籍なので、セクシュアリティ論・ジェンダー論・文化人類学などの議論を前提としているが、分かりやすく丁寧に書かれているため、人文科学の著作になじみのない読者にも魅力的な内容に仕上がっている。フィールドワークと精密な文献調査に基づく具体的なエピソードが織り交ぜられているので、新鮮な驚きとともに読み進めることができる。

研究者にとっても、コミュニティ論とセクシュアリティ論を見事に交差させた本書は、画期的な著作であり、今後のセクシュアリティ研究にとって欠かせない一冊になるだろう。