獄中で聴いたイエスタデイ の感想

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参照データ

タイトル獄中で聴いたイエスタデイ
発売日2015-09-17
製作者瀧島祐介
販売元鉄人社
JANコード9784865370409
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

1980年にポール・マッカートニーが来日した際、大麻所持の現行犯で逮捕された事件は、ある程度の年齢の方なら、記憶に残っていることだろう。
私はやや世代が異なるものの、ぼんやりと覚えている。
当時ビートルズはすでに解散していたが、ポールはスーパースターだった。

日本に(世界に)衝撃が走ったポールの大麻所持事件。
当時、警視庁の留置所でポールと同房だった男性が手記を出したとネットで見て、興味本位で買ってみた。懐かしさからである。

読み始めたら止まらず、一気に読了した。

最初、ポールと獄中で居合わせた話にしか期待を持っていなかった。
他の話は、ポールとの話を書きたいがための、添え物なんだろうと高をくくっていたのだ。

大間違いだった。

この瀧島氏は、ポールの人生と己が人生を重ね合わせて描く。
それぞれ別のところでまったく違う人生を歩んでいた二人が、
1980年のあの日にクロスする。
その後、ポールとの「出会い」によって人生観が変わった瀧島は、のちにカタギとなり、恩人であるポールにお礼を言うため(=スジを通すため)、会いにいく…。
そこには人生の不思議があり、共感できる部分も多いのだ。

ところで、こうしたまったく接点のない複数の人間の人生を入れ子式に描く手法は、小説ではよく見られるものだ。
主に群像劇に多く、私もいくつかの作品を知っている(「コインロッカーベイビーズ」、奥田英朗のいくつかの作品など)。
決して珍しい書きかたではないが、ポールと殺人犯の極道という、相容れない二人が同列で語られる点は、音楽系のノンフィクションとしては、やはり特殊であろう。

中学もろくに出ていないという瀧島は、長い獄中生活で相当に本を読んでいたらしいから、この時に文章を勉強したのかもしれない。

考えてみれば、ビートルズやポールの本といえば、回顧録や評論ばかり。
そんな中、こうした実体験に基づいた“物語”は、世界にも類を見ないのではないだろうか。

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