「空気」の研究 (山本七平ライブラリー) の感想

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タイトル「空気」の研究 (山本七平ライブラリー)
発売日販売日未定
製作者山本 七平
販売元文藝春秋
JANコード9784163646107
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

 基本的には、「場の空気」というものの問題点について書かれた本だが、
フィクション(演劇、祭り等)を楽しむ場合については、空気の作用無しには成り立たないとも書かれている。
例えば、「女形は本当は男じゃないか」なんてこと言ってたら歌舞伎は見ていられないし、
プロレスを見て「あいつら本気で戦ってないだろう」なんて言ったら、仮に事実でも
「空気読め」と言われるのは致し方ない。あらゆるフィクションの成立には、まず対象に感情移入し、
それを皆で事実として共有することが必要なわけだ。そうすることで一つの空気が出来上がる。
大相撲の八百長問題なども、「八百長」という行為そのものが問題視されたというよりは、
相撲に熱中する「空気」に冷や水をぶっ掛けてくれたことの方が問題になっているフシがある。
最終的に、このような空気に同調できない人間は、無粋者として排除されることになるが、
所詮はフィクション、追い出されたら自分に合う空気のジャンルを見つければ良いだけのこと。

 ただ、遊びの場、言ってしまえば虚構の世界における空気の作用を、逃げ場の無い実生活にまで
適用してしまったら一体どうなることだろう。空気に逆らった結果、組織から排除されてしまったり、
排除を恐れるあまり誰一人空気に逆えず、組織ごとあらぬ方向に突き進んでしまうことが考えられる。
本書では、主に実世界での空気の成り立ちと、その危険性について、日本での実例や欧州の事情を
交えながら念入りに解説してくれる。それによれば、空気に人間が支配されてしまう状況は、
何も日本固有の現象ではなく欧州や中東にもあるそうだ。ただ、彼らは古くから
「空気に支配されてしまう我ら」を認め、空気による決定で自分たちが痛い目を見ないよう、
様々な対策を打ち立ててきたという話だ。

 この実際に空気が出来上がる仕組みを理解すると、日本で起こる(起こった)様々な社会現象の把握に役立つので、
非常に有用な本だと思う。☆を四つとしたのは、日本人がこれから採るべき「空気」対策については

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