TH no.38 愛しきシカバネ (トーキングヘッズ叢書 第 38) の感想

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かつて呼吸をし、生きていた人間の果ての姿である「死体」と、布、粘土、塩ビ、シリコン…まあ何でもいいが、何かしらの素材を人のかたちに象った「人形」。両者はある意味で非常に近しい存在である。そんな、死体と人形(を始めとした創作物全般)に焦点を当てた一冊。

巻頭にて「生命は無理でも死体なら作ることができる」と語る西尾康之氏の、全長３メートルに及ぶ巨大な女性の水死体人形は相当なインパクト。

もともとはベクシンスキーと釣崎さん目当てで購入したのだが、ほかの記事も非常に有意義なものだった。
その釣崎さんのインタビューではDVD「死化粧師オロスコ」のちょっとした裏話というか、その後の話などが語られており、興味深い。舞台となったコロンビアのカルトゥーチョは、現在では街の区画ごと取り壊されて公園になっており、当時の面影は何も残っていないのだという。

球体関節人形、写真、絵画、アニメやライトノベル、ボーカロイドに至るまで、「死体」や「死」そのものについて。あるいは無機物、電子データに命を吹き込む創造性について、様々な側面から追求している。