クリエイティブ業界を目指す人のための　ポートフォリオ見本帳 の感想

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ポートフォリオ関係の書籍を探していたのですが、なかなか質の良いものがなく本書を見つけたおかげで助かりました。

実際に内定の出たポートフォリオの実例が載っており、非常に参考になります。
著者がプロのデザイナーらしく、巷によくある就活本のように素人が思いつきで書いたようなテキストに埋め尽くされているようなこともないですし、ページ数稼ぐめの変な挿絵なども入っておらず内容に信ぴょう性があります。

実際の人気企業の人事のインタビューや、カバーレターの書き方、送付の際の注意などの、ポートフォリオ制作以外の一般の就活本ではカバーされていないような内容も掲載されているので、クリエイティブ関係の就活の上でのマナーなどに悩まなくて済みます。

個人的に要望を挙げるとすれば、内定を受けた就活生のポートフォリオだけでなく、第一線で活躍しているプロの方のポートフォリオや、プロの添削のついたポートフォリオが掲載されていれば、プロフェッショナルのポートフォリオがどのようになっているかわかって参考になっただろうということです。やはり内定者とは言え学生の作品なので、プロのポートフォリオと比べて、教科書的な使い方は厳しいものがありますし、新卒にはともかく、中途で転職やフリーランスを考えている人の参考にもあまりならないでしょう。基本実力主義のクリエイティブ業界で、ポートフォリオ集や掲載作品が新卒向けのものである必然性はないので、ちょっと残念でした。まあ、プロのポートフォリオを集めるのは難しいでしょうが。

あとそれぞれのポートフォリオの良いところを抜粋して掲載している形なので、全体的に奇をてらったポートフォリオも多く（別冊付録付きだったり、実物のTシャツがページに貼り付けた袋に入っていたり）、全体的な構成や強弱の付け方に関する情報量が少し貧弱です。（喩えるなら面接で「おはようございます！」と絶叫したら内定もらった的なエピソードばかり掲載されているような感です。）単純に質の良いポートフォリオを作りたいというときにもちょっと使いづらいかもしれません。この書籍に書かれていることを実践しすぎると、そうとうけばけばしいものが出来るかもしれません。