ゲーム・チェンジャーの競争戦略 ―ルール、相手、土俵を変える の感想

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物の見方、考え方を変えるためのヒント満載である。ただ、競争はしないに越したことが無い。お互い疲弊ではなく、
業界全体も再興できる方法を考えるところにに意義があるのがわかった。
あとは、どう実行するかである。

書名から、内田氏がＢＣＧ時代からやっているデコンストラクション戦略（懐かしい！）の続編に思えた。購入したが、失望した。対象に取り上げた企業への洞察が浅くただのベストプラクティス概要にとどまり、整理の４象限切り方も、プロが熟慮して作り出したフレームとは思えないほど使い道が見えない。後記をよむと、学生との共同研究事例であることが書いている。つまり、早稲田ビジネススクールの学生のレポートを元に、内田が加筆訂正して仕上げたのが本書なのだ。非常に失望した。後記に明記されている分だけ悪意はないとは思うが。

コンサルという職業上、このようなジャンルの本はなるべく読ませて頂いております。
さて、該ジャンルでは、1アカデミックに近く、フレームワークを整理＝硬くちょっと読みにくいイメージ、または、2最新事情の分析＝読みやすいが軽いイメージ、の２つに大きく分類出来ると思います。
この本は、個人的には、上記1と2の双方をチャレンジした、大変意欲的な編集がされていると思います。
また、何人かの方が指摘しておられますが、多岐に渡り多方面から考察を加えているので、薄い感じもするかもしれません。
しかしそれは、読み手の第三の目的である、3自分自身の事例に照らして再考する、という契機を促していると私には思えて、受動的だけではなく、能動的かつ積極的に自分の抱える事例に関しても再考出来たので、課題や問題意識をもっている、ビジネスマン、学生さんにも参考になると思います。

強いものではなく、環境に適応したものが生き残る「適者生存」。生存競争は命を懸けた適応競争だ。ビジネスもまた然りだろう。

・・・などと書くとハツカネズミやゴキブリみたいな企業が生き残るのかという気持ちになってくるが、本書は、変化の早い昨今の異業種競争時代の競争戦略について、「事業連鎖（ビジネスチェーン）」という考え方を通じ、非常に多くの事例を用いて掘り下げた本だ。自らが属する分野の大きなつながりを捉えることによって、そこに発生する「異業種間競争」を考慮に入れることが可能になる。セブン・イレブンが100円のコーヒーを売り、カフェ事業に進出したのはなぜか。任天堂が、スマートフォンの存在に気づいていたが対処しきれなかったのはなぜか。

予測の難しい変化に見舞われる現在の競争環境は、昔習った歴史のストーリーの栄枯盛衰のようだ。グローバル化し、自動化し、ITで強化されたビジネスの速く大きな流れに、どのように挑めばよいのだろうか？本書はそこに、２本の補助線を引いた。「市場の変化」と「儲けの仕組みの変化」だ。どちらも「変化」を捉える２つの目線だ。見つめる先は、競争の土俵が変わった事例の「ゲームチェンジャー」達である。

1つ目の補助線、「市場の変化の視点」とはつまり、「新しい製品やサービスが出てきているかどうか」だ。新世界を見出したのか、「黒船」として横展開したのか、自分が劇的に変わったのか。既存の市場であっても、業務プロセスの変更など様々な手を用いて競争の土俵を変えることができる。全くの新市場を立ち上げることができれば、直接的な競合は発生しないが、顧客の時間と消費は有限だから、長期的には新市場の存在自体が既存の市場を代替していく可能性がある。

とにかく解り易い良書。
専門的な分析がされていながらも、表現は極めて平易。
マーケティング用語や競争理論を全く知らなくてもスイスイ読めます。
そして、実践的。
この手の本にありがちな、シュターデン（＝理屈倒れ）的な内容ではなく
具体的な課題解決にまで触れ、実務にすぐに落とし込めます。
また、具体例が極めて豊富で、とても参考になります。
本の厚さから推測される時間を大幅に裏切り、会社の昼休憩3日で読了。
特に、日々変化する市場環境の中で
既存事業が脅威にさらされている読者には、特に必読です。
著者が最後に指摘する
「変化しない者は生き延びられない」
に対しての
「で、どうする？」
まで連なる、実務に役立つ本です。
コトラー先生やギボンズ先生の本を読むより、この一冊をおススメします！