北杜夫 ---追悼総特集 どくとるマンボウ文学館 (文藝別冊/KAWADE夢ムック) の感想

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タイトル北杜夫 ---追悼総特集 どくとるマンボウ文学館 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)
発売日2012-07-23
販売元河出書房新社
JANコード9784309977775
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 日本文学研究

購入者の感想

「どくとるマンボウ青春記」のレビューにも書いたが、北杜夫との出会いは1960年代の初め、古めかしい上野の図書館であった。偶々、手に取った『幽霊』の今までにない文学の瑞々しさに魅せられて長くファンとなった。

巻末の年譜で確認すると10年前の平成12年、世田谷文学館で「北杜夫展」が開催された。懐かしく鑑賞した。北杜夫は当時73歳であった。
このごろ、老い支度として蔵書の処分をしている。昨年3月、東日本大震災直後に北杜夫の本を処分した。年譜によると、蔵書の中で最新の本は多分、『木精』(昭和50年)か『どくとるマンボウ追想記』(昭和51年)ということになる。『楡家の人々』だけは処分に忍び難く残してしまった。それに北杜夫に触発されて。トーマス・マンの『魔の山』を読み始めたが、まだ読了していない。この本は当分、書棚に残ることになるだろう。

多くの方の追悼エッセイ集、北杜夫との対談集が採録されている。特に辻邦生、遠藤周作の名が懐かしい。【北杜夫コレクション】として今まで余り読む機会のなかった小品が採録されている。一部はどこかで読んだ記憶はあるが、殆どが初めてである。久し振りの北杜夫の文章が懐かしい。
北杜夫の娘さんの「由香」という名前はチバテツヤの『ユカとよぶ海』からとったそうだ(「愛すべき躁鬱病の叔父」齋藤章二)。昭和50年に子供が生まれたとき、北杜夫の名前が「トニオ・クレーゲル」に由来するように、なにか意味ある名前にしたいと思ったことを想い出す(結局、平凡な名前を選んだのだが)。
さようなら 我が青春の北杜夫 合掌!

なだいなださんら、北さんをよく知る各界の著名人をはじめ、さまざまな立場の方が、北さんへの愛と追悼の意を表した、追悼特集。
兄の茂太さんと、北さんが兄弟で行った対談が載っています。ここで、茂吉のことを、どんなふうに呼ぶか、と論議しているところが面白い。北さんは「茂吉は・・・」と言い、兄の茂太さんは、「親父(おやじ)」と呼ぶ。北さんの心の内が伝わってきます。北さんは、兄の茂太さんのことも、ちょっと遠慮して呼んでいますね。おもしろい。
北さんのはすべて読んできた、と思うくらいなのに、まだこうした、未見の文書が出てくるあたり、ちょっと貴重で、おもしろい本です。
北さんのご冥福をお祈りいたします。

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