ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書) の感想

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タイトルルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者堤 未果
販売元岩波書店
JANコード9784004311126
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

アメリカ資本主義の崩壊を強く感じる。
アメリカの肥満の原因、保険制度の崩壊、民営化された戦争!
すべては、資本主義の全体的な勝者が、貧民層を金で奴隷化し、
また、貧困層から金を吸い上げ、さらに儲ける。
この凄い矛盾と問題を有した保険制度や行政の民営化の
システムが日本へ輸出されるのは、絶対に阻止せねばならない。
ある意味、トランプ大統領が支持されるのは理解出来る。
少なくとも、貧困層サイドに軸足があるのだから、、、。

貧困問題は途上国ばかりあると思い込む人が多い中、世界一の経済大国であり、世界のリーダー的存在として認知されているアメリカにも悲惨な貧困問題が存在することを詳細に述べられた本です。
平和研究、国際協力を学習している私にとって、とてもよい文献でした。

 本書で紹介されているのは、貧困化が進むアメリカで起こっている事実と、それを利用しようとする企業と政府の現実である。

 本書によれば、学校給食に食い込むフードビジネスが、マクドナルドやピザハットなどのファストフードであるため、貧困層の多い公立学校では約半分の子供が肥満児になっている。また、ハリケーンカトリーナの被害を受けたニューオーリンズ地区の住民に対して政府が出した救済策は、とうてい無理に決まっている貧困層に対する政府の土地の払い下げである。このため、富裕層が土地を買って、貯水池や高級コンドミニアムになってきているという。さらに、高額な医療費のために無保険者が5000万人近くに増大し、一方で病院にも市場原理主義が進んでコスト削減が進み、医療過誤も急増しているという。

 このような現実をいくつも示した上で、著者がもっとも力を入れているのがイラク戦争に関する部分である。大学に通えない貧困層に奨学金が出るといって食い込む米軍のリクルーター。戦争ビジネスとしてチェイニー副大統領がCEOをしていたハリバートン社に見られるような派遣会社が世界中に網を巡らして、貧困国からイラクに労働者を送り込んでいるという現実。

 富裕層と貧困層という二極化が進行している中で、これを民営化を進める政府が戦争に活用しているという、市場原理主義が行き着くところまで行ってしまったアメリカ。
 ここに、今日本で進行しつつある民営化と進む格差などの現象が重ね合わされてしまう。

エピローグで「消費をやめましょう」とクリスマスシーズンにマンハッタンの玩具店の前で叫ぶ教会の牧師を紹介している。
このメッセージが、これからの世界経済への一つの回答を示しているように思えてならない。

米国の貧困問題について、驚くべき数々の実例を紹介しながら、
その実態を焙り出した話題の書。
米国の医療制度の悲惨さにも驚いたが、
さらに深刻なのは貧困層の人々が戦争ビジネスの食いものにされているという現実。
そして、OECD加盟国の中で相対的貧困率が米国に次いで二番目に高い我が国の事を思うと、
決して対岸の火事と言える状況ではない。
格差問題、貧困問題について考える上で必読の一冊。0

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