復讐の女神 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 復讐の女神 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | アガサ クリスティー |
販売元 | 早川書房 |
JANコード | 9784151300455 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学 |
購入者の感想
本の状態は良好でした。クリスティーのマープルシリーズは全て読みましたが、この作品が最後にして最高ではないかと思いました。
死者からの謎の探索依頼というミステリアスな設定も、「愛ということばほど恐ろしいものはない」という言葉から解き明かされる真実も、ただ結末の意外性だけでなく、人間の心の深奥を描き出すクリスティーの作家としての卓越した筆力を堪能しました。この作品は「カリブ海の秘密」と合わせて三部作の二作目となるはずだったそうですが、私はこの作品で「マープルもの」は完結でよいと思いました。
死者からの謎の探索依頼というミステリアスな設定も、「愛ということばほど恐ろしいものはない」という言葉から解き明かされる真実も、ただ結末の意外性だけでなく、人間の心の深奥を描き出すクリスティーの作家としての卓越した筆力を堪能しました。この作品は「カリブ海の秘密」と合わせて三部作の二作目となるはずだったそうですが、私はこの作品で「マープルもの」は完結でよいと思いました。
「カリブ海の秘密」の続編で、前作で一緒に事件を解決した大富豪のラフィール氏が亡くなり、ミス・マープルにある事件を解決するよう遺言を遺します。ミス・マープルは指示された豪華な団体旅行に参加し、参加者や旅先で出会う人々とのたわいないおしゃべりの中から解決の糸口を様々にみつけていきます。全編に渡ってラフィール氏の影が見え隠れし、亡くなったはずの氏が大きな存在感を発揮しているのが、ラフィール氏ファンには堪えられません。
過去の解決済み事件を、当時の関係者に再度あたりながら再構築していくというこの手法は、ポアロの「象は忘れない」「五匹の子豚」に通じるものがあり、この2作品が好きな私のような読者にはたまらない面白さです。本当は3部作の予定で次の話の構想もあったらしく、確かに伏線らしきものも散見されたのですが、残念ながら遺作となってしまいました。
事件のテーマはミス・マープルの真骨頂といえるもので、「鏡は横にひび割れて」と同様、明らかになった真相は切なく痛々しいものでした。
過去の解決済み事件を、当時の関係者に再度あたりながら再構築していくというこの手法は、ポアロの「象は忘れない」「五匹の子豚」に通じるものがあり、この2作品が好きな私のような読者にはたまらない面白さです。本当は3部作の予定で次の話の構想もあったらしく、確かに伏線らしきものも散見されたのですが、残念ながら遺作となってしまいました。
事件のテーマはミス・マープルの真骨頂といえるもので、「鏡は横にひび割れて」と同様、明らかになった真相は切なく痛々しいものでした。