敬虔な幼子 の感想

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参照データ

タイトル敬虔な幼子
発売日販売日未定
製作者エドワード ゴーリー
販売元河出書房新社
JANコード9784309265889
カテゴリ文学・評論 » 評論・文学研究 » 外国文学研究 » 英米文学

購入者の感想

「よく聞きなさい。心をいれかえて幼な子のようにならなければ、天国にはいることはできないであろう。この幼な子のように自分を低くする者が、天国でいちばん偉いのである。」(マタイ 8:1-4)。

敬虔な幼子というテーマは19世紀末のイギリスで大層流行したらしいが、この絵本でゴーリーは確信犯的にそうした幼子像をちゃかし、敬虔だが狂信的な幼子像を浮かび上がらせている。

また日本語の翻訳も戦前の少年少女文学風の少し古風な言葉であり、それがこのテーマに何ともマッチしている。

例えば、「ある日曜日、氷滑りをしている男の子たちを見かけて寄っていき、『何と浅ましい、聖書も読まず安息日を無為に過ごすとは!」と窘めました。」なんて、一度こういう言葉で叱られてみたいものだとつい思ってしまう。

とにかく敬虔さが極端すぎて、つい笑ってしまうほどなのだが、最後は恵まれない未亡人にプディング(笑)を届けにいった帰りに雹にうたれ、それがもとでわずか4歳で神の許に召されてしまう。それでも、ゴーリーの筆致はあくまでも抑制的で、「ヘンリークランプの小さな体は墓の中で土に還りましたが、魂は神の御許に昇って行きました」と結ばれる。

こういう本を書くゴーリー自身は決して敬虔ではなかっただろうし、この本を面白く読める自分も敬虔さが足りないのだとは思う(本当にまじめなクリスチャンの中には不快に思う人もいるかもしれない)。

しかし、これぐらいシンプルに不器用なまでに信仰に一途な姿に、どこか憧れる自分がいるのも事実。信仰って自分には非常に難しい課題だが、ひょっとすると驚くほど簡単なことなのかもしれないとも思う。

何度も何度も読み返す絵本って大人になってから減るのは何故でしょう。
それは、物語が現実とは違う事を分かっているからではないでしょうか?
現実に弱い者は救われない。現実を突きつける物語は大人の心に突き刺さります。子供の頃読んでた幸せな寓話から現実へ。説教臭さのない、淡々と最小限の表現で描かれているゴーリーの本は冷たさを感じないのは何故でしょう。

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