「死ぬ瞬間」をめぐる質疑応答 (中公文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 「死ぬ瞬間」をめぐる質疑応答 (中公文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | エリザベス キューブラー・ロス |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784122045941 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 |
購入者の感想
著者の「死の受容の過程」が引用されている文章を読んだことがあった。それから気になってはいながらも、著書を手にしたことはなかった。
個人的な話だが、7年前の自分の父の3ヶ月の余命宣告から、死に至るまでの1年を振り返ると、プロセスを一気に飛ばしていきなり受容に至った父の姿を思い出す。宣告されたその瞬間から父がやり出したことは、自分がいなくなった後のことについてのいろいろな手続き。たとえば、お墓を買うだとか、葬儀の予約をしておくだとか、身辺整理だとか、母との思い出作りだとか。
まだ病気も知らず元気だった頃、父は散骨を望んでいた。しかし、宣告を受けた後、お墓を購入するにあたり、父は私たちにこう言った。正確な言葉ではないが、「自分は死んでしまうから後のことはわからないので墓はいらないが、残された家族のより所は必要だと思う」と。だからお墓を買うことにした、と。なるほど、確かに残される家族にとって、より所は必要だった。家族にも受容の過程は必要なのだ。
今年、父親の七回忌を終えて、そろそろ一度は著者の本を読んでみようかと思い始めた。しかしいざ読もうとすると、何冊かある本を一から読むのも大変そうだ。それで、質疑応答形式のこの本を購入した。正解だった。歯切れの良い、逃げのない答え。具体的で理解しやすい内容。キリスト教の国で聖職者が病院に自由に出入りできるアメリカと、そういったことがほとんどない日本という環境の違いのため、内容を全てを理解するのは難しいのだが、自分の身に置き換えたときに、これから先、参考にできることは多いと思った。
個人的な話だが、7年前の自分の父の3ヶ月の余命宣告から、死に至るまでの1年を振り返ると、プロセスを一気に飛ばしていきなり受容に至った父の姿を思い出す。宣告されたその瞬間から父がやり出したことは、自分がいなくなった後のことについてのいろいろな手続き。たとえば、お墓を買うだとか、葬儀の予約をしておくだとか、身辺整理だとか、母との思い出作りだとか。
まだ病気も知らず元気だった頃、父は散骨を望んでいた。しかし、宣告を受けた後、お墓を購入するにあたり、父は私たちにこう言った。正確な言葉ではないが、「自分は死んでしまうから後のことはわからないので墓はいらないが、残された家族のより所は必要だと思う」と。だからお墓を買うことにした、と。なるほど、確かに残される家族にとって、より所は必要だった。家族にも受容の過程は必要なのだ。
今年、父親の七回忌を終えて、そろそろ一度は著者の本を読んでみようかと思い始めた。しかしいざ読もうとすると、何冊かある本を一から読むのも大変そうだ。それで、質疑応答形式のこの本を購入した。正解だった。歯切れの良い、逃げのない答え。具体的で理解しやすい内容。キリスト教の国で聖職者が病院に自由に出入りできるアメリカと、そういったことがほとんどない日本という環境の違いのため、内容を全てを理解するのは難しいのだが、自分の身に置き換えたときに、これから先、参考にできることは多いと思った。
「こういう本が読みたかった」と思う本はいくつかありますが、「この本が読みたかった!」とドンピシャ思える本にはなかなか巡り会えません。その意味で、この「「死ぬ瞬間」をめぐる質疑応答」は、医療関係に縁のない私にとっても得難い本です。
著者エリザベス・キューブラー・ロス氏は終末医療の世界的権威であり、立花隆氏も「臨死体験」でインタビューしています。立花氏によると本著を始めとする「死ぬ瞬間」シリーズは、世界中の医者、看護師の必読文献になっているとのことです。それほどまでに医療界に影響を与えた著者、著作、です。
質疑応答形式で構成されるこの本、質問者はおしなべて「臨死患者に接する普遍的心構え」あるいは「何かしら普遍的な理論」を知りたくて質問しているように思えます。そこには「自分には荷が重い」という思いもあるようです。それに対する著者の解答は、「まずは接してみなさい」「臨死患者から学びなさい」と、端的でありながら、逃げることなく場数を踏んできた圧倒的な存在感に満ちています。
死に臨もうとする患者、視力や手足を失った患者を前に、「とてもムリ!」と逃げることなく、自分も接することができるかも知れない。そんな心になれる本です。0
著者エリザベス・キューブラー・ロス氏は終末医療の世界的権威であり、立花隆氏も「臨死体験」でインタビューしています。立花氏によると本著を始めとする「死ぬ瞬間」シリーズは、世界中の医者、看護師の必読文献になっているとのことです。それほどまでに医療界に影響を与えた著者、著作、です。
質疑応答形式で構成されるこの本、質問者はおしなべて「臨死患者に接する普遍的心構え」あるいは「何かしら普遍的な理論」を知りたくて質問しているように思えます。そこには「自分には荷が重い」という思いもあるようです。それに対する著者の解答は、「まずは接してみなさい」「臨死患者から学びなさい」と、端的でありながら、逃げることなく場数を踏んできた圧倒的な存在感に満ちています。
死に臨もうとする患者、視力や手足を失った患者を前に、「とてもムリ!」と逃げることなく、自分も接することができるかも知れない。そんな心になれる本です。0