絶対音感 (新潮文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 絶対音感 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 最相 葉月 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101482231 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
ノンフィクション著作で、聞いた音の音程が正しく分かるという「絶対音感」というテーマだけで、これだけのボリュームの本が書けるものなのかと、見たときには正直ちょっと驚きでした。
が、読んでみて納得できました。
著者がこの本を書くきっかけは、たしかに「『絶対音感』について調べてみたい」ということだったわけですが、それの調べ方が半端ではなく、音楽と音の科学の両方の側面から、きわめて多数の専門家に直接アプローチして様々な知見を引き出し、総合的にまとめようとした結果、最終的には、単に「絶対音感とは何か」というテーマを超え、「音楽とは何か。人はなぜ音楽に感動するのか」にまで踏み込んだ論述がなされるまでになっていました。
しかも、専門家へのアプローチの仕方も、単に断片的に聞きかじるのではなく、作者自身で科学的な内容を咀嚼し、また、音楽家の人生を細部まで調べ、共感を持って接し、そうした上で言葉を紡ぎ出しています。これなら、これだけのボリュームになるのは当然でしょう。
そして、作者のその労苦に釣り合うだけ、ものすごく濃い内容の音楽論であり、しかも同時に実に感動的なドキュメンタリー小説になったのがこの本だと思いました。
不覚にも、僕は文庫になるまでこの本のことは知らなかったのですが、1998年の初刊時にも非常に話題になった本だそうで、それも宜成るかな、です。
絶対音感を巡る、音楽家の様々なエピソードや、科学的な知見の数々も読み応えがありますが、僕にとってとりわけ感動的だったのが、第8章「心の扉」で小説タッチに描かれた、世界的バイオリニスト五嶋みどり一家の人生模様でした。これを読んで、あまりのすさまじさに、打ちのめされた思いでした。
これを読んでしまうと、今まで何気なく聞いていたクラシックも、これからは相当違った聞こえ方になってしまうでしょう。それだけのインパクトのあるエピソードでした。中身は、読んでみてのお楽しみと言うことで、ここには書きません。
が、読んでみて納得できました。
著者がこの本を書くきっかけは、たしかに「『絶対音感』について調べてみたい」ということだったわけですが、それの調べ方が半端ではなく、音楽と音の科学の両方の側面から、きわめて多数の専門家に直接アプローチして様々な知見を引き出し、総合的にまとめようとした結果、最終的には、単に「絶対音感とは何か」というテーマを超え、「音楽とは何か。人はなぜ音楽に感動するのか」にまで踏み込んだ論述がなされるまでになっていました。
しかも、専門家へのアプローチの仕方も、単に断片的に聞きかじるのではなく、作者自身で科学的な内容を咀嚼し、また、音楽家の人生を細部まで調べ、共感を持って接し、そうした上で言葉を紡ぎ出しています。これなら、これだけのボリュームになるのは当然でしょう。
そして、作者のその労苦に釣り合うだけ、ものすごく濃い内容の音楽論であり、しかも同時に実に感動的なドキュメンタリー小説になったのがこの本だと思いました。
不覚にも、僕は文庫になるまでこの本のことは知らなかったのですが、1998年の初刊時にも非常に話題になった本だそうで、それも宜成るかな、です。
絶対音感を巡る、音楽家の様々なエピソードや、科学的な知見の数々も読み応えがありますが、僕にとってとりわけ感動的だったのが、第8章「心の扉」で小説タッチに描かれた、世界的バイオリニスト五嶋みどり一家の人生模様でした。これを読んで、あまりのすさまじさに、打ちのめされた思いでした。
これを読んでしまうと、今まで何気なく聞いていたクラシックも、これからは相当違った聞こえ方になってしまうでしょう。それだけのインパクトのあるエピソードでした。中身は、読んでみてのお楽しみと言うことで、ここには書きません。