Sirens の感想

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2013年1月29日リリース。クリス・ポッターのECM『リーダー』デビュー・アルバムである。あのマンフレート・アイヒャーとクリス・ポッターが出逢うとどうなるのか。聴かずにはいられないアルバムである。パーソナルは、Chris Potter (ss, ts, bcl on The Sirens)、Craig Taborn ( p ) 、David Virelles (prepared p, celeste, harmonium)、Larry Grenadier (b)、Eric Harland (ds)と当代の売り出し中ばかりである。そしてこの作品は、ギリシャの詩人ホメーロスが残した叙事詩『オデュッセイア』にインスパイアされて創られたらしい。

まず書きたいのは、サポートする面子も最高のプレイを聴かせてくれている、ということだ。クレイグ・タボーンのピアノは冴えまくっているのだが、それ以上にキューバ出身のダヴィ・ビレージェスが聴かせるプリペアード・ピアノ、チェレスタ、ハーモニウムが滅茶苦茶冴えている。特に2曲目『Wayfinder』が凄い。エリック・ハーランドとラリー・グレナディアのプレイも極上だ。

そしてその上に展開するクリス・ポッターのサックスが素晴らしい。既にマイケル・ブレッカーがこの世を去って6年の月日が経ってしまった訳だが、マイケル・ブレッカー亡き後、その後継としてクリス・ポッター以上の存在は考えられないと確信させるようなプレイが展開する。表題曲『The Sirens』ではバス・クラリネットまで披露し、その世界はますます広がっているのが分かる。

マンフレート・アイヒャーとクリス・ポッターが出逢うとこうなるか、と聴き終わって思う。ECM独特の静寂の空間に響くクリス・ポッターのサックス。素晴らしいアルバムである。