サラダ記念日 (河出文庫―BUNGEI Collection) の感想
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参照データ
タイトル | サラダ記念日 (河出文庫―BUNGEI Collection) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 俵 万智 |
販売元 | 河出書房新社 |
JANコード | 9784309402499 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 詩歌 » 歌集 |
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購入者の感想
現代語を用いていることや「カンチューハイの歌」などが収録されていたこともあって発刊当時は革新的歌集のように言われていた。しかし、それは正しくない。本書はとても古典的な歌集なのである。
俵万智の短歌はほぼすべて五七五七七という規則に従う。別の本で著者自身が語っているように、1980年代の現代歌は破調に対して寛容すぎであり、センセーショナルな単語のパワーに頼りすぎるきらいがあった。「使っている言葉は現代語だが、形式やコンセプトは厳格なまでに古典的でありたい。」という、著者の理想のもとで作られた短歌を集めた本書は、当時の歌壇に対する強烈なアンチテーゼでもある。
したがって、軽やかで現代的なことばつかいとは裏腹に、音韻の使い方や言葉遊びには万葉集の影響が見られる。タイトルにもなった「サラダ記念日」の歌がそうである(サ行の繰り返しによる野菜の歯ざわりの表現が絶妙)。また、歌われる内容は四季折々の風景や人間の心情といった身近なものであり、全部を描写せず読者に想像の余地を残すなど表現バランスもすぐれている。そして、言葉の選択に対するセンスの鋭さは特筆ものである。一見したところキッチュでポップな表面にカモフラージュされているが、実際には「真似できるものなら真似してごらん」とでも言っているような強烈な自信、自意識なども封じ込められており、強くしたたかな女性像を感じさせてもくれる。
本書が世に出て以降、現代語を使う歌人が続々とあらわれたが、このレベルに到達した人はいないのではないか。本書に記された文字だけを読んでも十分楽しめるが、じっくり読み込むといろいろなものが見えてくる歌集である。
俵万智の短歌はほぼすべて五七五七七という規則に従う。別の本で著者自身が語っているように、1980年代の現代歌は破調に対して寛容すぎであり、センセーショナルな単語のパワーに頼りすぎるきらいがあった。「使っている言葉は現代語だが、形式やコンセプトは厳格なまでに古典的でありたい。」という、著者の理想のもとで作られた短歌を集めた本書は、当時の歌壇に対する強烈なアンチテーゼでもある。
したがって、軽やかで現代的なことばつかいとは裏腹に、音韻の使い方や言葉遊びには万葉集の影響が見られる。タイトルにもなった「サラダ記念日」の歌がそうである(サ行の繰り返しによる野菜の歯ざわりの表現が絶妙)。また、歌われる内容は四季折々の風景や人間の心情といった身近なものであり、全部を描写せず読者に想像の余地を残すなど表現バランスもすぐれている。そして、言葉の選択に対するセンスの鋭さは特筆ものである。一見したところキッチュでポップな表面にカモフラージュされているが、実際には「真似できるものなら真似してごらん」とでも言っているような強烈な自信、自意識なども封じ込められており、強くしたたかな女性像を感じさせてもくれる。
本書が世に出て以降、現代語を使う歌人が続々とあらわれたが、このレベルに到達した人はいないのではないか。本書に記された文字だけを読んでも十分楽しめるが、じっくり読み込むといろいろなものが見えてくる歌集である。