あの頃映画 「五番町夕霧楼」 [DVD] の感想

240 人が閲覧しました

　山口百恵さんが主演した『古都』を観た時には、出演者よりも映画を製作しているスタッフのほうが強い思いを込めて映画を創っているな！と感じたのですが、この作品についても全く同様に制作者側の強い思い入れが伝わってきました。

　きっと映画の制作者の人たちも、原作者の水上先生と同様に、京都の千本中立売界隈の遊郭を利用していて、水上先生と同じぐらいにその内情に精通していた！のだと思います。そして、その知識と経験をこの作品に情熱と感謝の気持ちを込めて反映させたのではないでしょうか？

　ただ、この映画からは原作に漂う雰囲気はあまり伝わってきませんでした。

　しかし、五番町の遊郭に対する郷愁とその当時働いていた妓らへの愛着という点で、原作と映画との間に通底するものがあるように思いました。

やっと、DVD化されました
松坂さんの映画の中では何故今作だけDVD化されなかったのか不思議なくらいでした
松竹のお嬢様女優だった松坂さんが、徐々に演技派女優へと変貌していく作品の始まりだと思います
前回映画化されたときは、佐久間良子の悲しさが強調されましたが、松坂さんのは儚く芯の強い夕子のイメージです

主題歌は、岸田智史・・・とてもいい曲なのにこちらは商品化されておらず、この映画の中でしか聴けません
山根監督らしく劇的な録り方とのミスマッチも楽しめます