Here, There and Everywhere: My Life Recording the Music of the Beatles の感想

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ジョージ･マーティンの右腕としてビートルズの歴史的セッションに関わった名エンジニア、ジェフ・エメリックの回顧録。以前に｢レコーディング・セッション｣やいくつかの雑誌インタビューで彼の人柄は何となくわかったが、この本でよりはっきりした。とにかく実務家らしく単刀直入であり、ゴシップめいた話にはほとんど目もくれず幾多のエピソードが次々と開陳される。もちろんページのほとんどは60年代後半、ビートルズとの録音活動を語るが、潔いことに、彼が居合わせなかったセッションについてはほとんど全く触れられていない。ビートル4人が互いのつながりを失っていきグループが崩壊していく様子、ジェフが直接関わったアップル・スタジオの構築(と、これまた崩壊)、ポールのソロ｢バンド・オンザ・ラン｣の録音で滞在したラゴスでの奮闘(結構なページが割かれている!)といったところが目新しい。日本語版は辞書のごとき分厚い風体だがこちらのペーパーバック版は安くて軽くていい。ただし文章の量はやっぱりかなりあるのでご注意を。