超・美術館革命―金沢21世紀美術館の挑戦 (角川oneテーマ21) の感想

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タイトル超・美術館革命―金沢21世紀美術館の挑戦 (角川oneテーマ21)
発売日販売日未定
製作者蓑 豊
販売元角川書店
JANコード9784047100954
カテゴリ » ジャンル別 » アート・建築・デザイン » 美術館・博物館

購入者の感想

高評判に釣られて、Kindle版で購入。

村上隆氏と著者の対談から読み始めたのですが、この対談内で、本編で主張される論点の多くが著者の口から述べられているので、正直ここだけ読めばいいのではないかとも思ってしまいました。

とにかく、同じ話題が、本編の各章や対談に繰り返し現れるのは、読んでいて辛かったです。金沢21世紀美術館は子どもターゲットにしたから成功したという話は、いったい何回繰り返されたのでしょうか。

「美術品というものは、本当に人々に力を与えてくれる。」(第六章)という著者の熱い想いは伝わってくるのですが、客観的でない主張が散見されるのも、鼻白んでしまうポイントでした。たとえば、「一番吸収力があるのは小学四年生、十歳である。」(第五章)という主張があるのですが、「五、六年生になると、異性に興味を持ち始めるからだ。美術館に来ても、好きな異性ばかり気になって、作品を見るどころではない。」といった調子で、憶測の域を出るものではありませんでした。また、「経済が文化を支えるのではなく、文化が経済を活性化して日本を豊かにしていく」(第一章)という、本書の全体を通した大切な主張も、金沢21世紀美術館における初年度の経済波及効果(328億円)を示しているのみで、他年度で、あるいは地方自治体が負担しているコストに対して、十分に証明されたとは思えませんでした。

北米の美術館に長く勤務していたということで、アメリカと日本における学芸員の地位や役割を比較するくだりや、アメリカの美術館は教育の場としての性格を強く持っているという話は、さすがに拝聴すべき意見だと思いました。だからこそ、重複した話題を整理してページ数を減らし、価格を下げてくれればもっと良い本になったのではないかと思います。

現代美術という、とっつきにくいものを専門にした金沢21世紀美術館を立ち上げ、年間145万人というミラクルな入場者数を実現し、来館したルーブル美術館長も絶賛したという「伝説の学芸員」のサクセスストーリー。長く北米の美術館で学芸員を務めた著者には、「美術館は街の顔」「美術館は誰でも気軽に楽しめる施設」というアメリカ流の美術館哲学が徹底している。

本書を読み、著者の並外れた努力と行動力、アイデア力に感心した。大学卒業後、骨董商で丁稚を3年やった後渡米、ハーバード美術史専攻でトップで博士号を取得、シカゴ美術館などで東洋部長を務めた。シカゴ美術館では展示室の改装で日本政府に1億5000万円拠出させ、金沢21世紀館でもあれこれ集客を考え、絶えず企画を発信し、地元の人も観光客もひきつけているという。

私は金沢21世紀美術館には行ったことがないが、暗い雰囲気の日本の美術館を見るのは退屈なことだった。著者に言わせれば、学芸員にやる気がなく、企画も人任せにするからだという。「美術館は人が来てナンボ」という著者の考えが反映された金沢21世紀館に行ってみたくなってきた。

その一方で、同じ内容が何度も出てくるのには閉口した。金沢21世紀美術館は13時間営業ですという内容は都合3回くらい出てきたんじゃないか。また、巻末の村上隆との対談や年表も、ページを水増しするための対談という感じで、本書の内容を繰り返している部分が多かった。

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