サンダカン八番娼館 望郷【期間限定プライス版】 [DVD] の感想

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参照データ

タイトルサンダカン八番娼館 望郷【期間限定プライス版】 [DVD]
発売日2013-11-08
監督熊井 啓
出演栗原小巻
販売元東宝
JANコード4988104080479
カテゴリDVD » ジャンル別 » 日本映画 » ドラマ

購入者の感想

この作品は、山崎朋子原作のノンフィクション「サンダカン八番娼館―底辺女性史序章」を映画化した傑作。
この映画化は戦前の「からゆきさん」と呼ばれた売春婦の半生を描いたものであり、彼女たちの人権を考えるとどのように描くかは一番の問題だっただろう。その問題を熊井啓監督は見事にクリアしている。
それは、主人公の圭子(栗原小巻)とおさき(田中絹代)との交流を通して、単なる「からゆきさん」という代名詞でなく一人の女性と向き合うことにより、おさきの失った青春を観る者に感情移入させて「日本の悲劇」を見事に描ききっているからだ。

圭子が取材でボルネオを訪れるシーンはドキュメンタリータッチで、圭子とおさきとの交流は人間味重視した演出、サンダカンでのおさき(高橋洋子)はリアリティ溢れるドラマとして展開する。
そのなかでも、田中絹代演じるおさきと圭子の関係は涙なしでは観られない。終盤の圭子とおさきの別れの「何故、どこの馬の骨かわからない自分のことを聞かなかったのか」という問いに、おさきが「誰にでも事情がある。相手が自分から喋るならまだしも、当人が何も言わんものをどうして聞けるか」と答えるシーンは、「からゆきさん」である真実を話したがらなかったおさきの胸の内が重く伝わってくる。
そして、おさきが「おまえの使った手ぬぐいをくれ」というところは、おさきの想いが一言で表された素晴らしいシーンだった。
その他にも、田中絹代が演じるおさきはかわいさが随所に表れていて、あらためて大女優の演技の素晴らしさを堪能できた。

一方、高橋洋子の演技も素晴らしい。初めて客をとった夜の雨のシーンや、日本に戻ってきて差別される現実に悩み酒におぼれて波打ち際に横たわるシーンなど体を張った演技が良い。このころの彼女は最高だ。
「からゆきさん」のボルネオの墓に対面する衝撃のラストは強烈に胸を撃つ。70年代の最高傑作であることは間違いない。

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