ヴァロワ朝 フランス王朝史2 (講談社現代新書) の感想

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参照データ

タイトルヴァロワ朝 フランス王朝史2 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者佐藤 賢一
販売元講談社
JANコード9784062882811
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » ヨーロッパ史 » ヨーロッパ史一般

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購入者の感想

失礼な言い様かもしれませんが、作家さんってさすがですね。異国の、日本でいえば足利尊氏から戦後末期までという微妙に縁遠い時代の通史を、こうも面白く描いてくれるんですから。いきなり視界がすっと拓けた感じになりました。有り難い限り。

当代の人物達を生き生きと立ち上げて、波乱万丈の、それでいて今の人をきちんと納得させてくれる作品です。昔の人の、それも王さまお妃、諸侯達の行動原理って今の一般人には理解できないものがあるじゃないですか。足利義満が芸術にはまってみたり、織田信長が残忍だったりしたことを知っていても、私の場合、ストンと腑に落ちないことがあるんですね。何故だろうって?その点本書は、歴代王の生い立ちにまで遡ってそれぞれの性格、考え方、親族との関係、置かれた政治環境などなどを上手い具合に示してくれて、「なぜそういう行動をとったのか」を、納得がいくように語ってくれるんです。歴史上の人物がぐっと身近に感じられるんです。

前著カペー朝を「個人商店」と例えていますが、続くヴァロア朝の歩みは「中小企業の苦闘実録」くらい、という著者の捉え方は成功してると思います。行政、司法、徴税、軍事の制度が徐々に整えられて行く様子。議会の成長。政略結婚を含む数限りない外交上のやり取り、さらには宗教戦争と宮廷内派閥抗争等々、国王の奮闘振りに絡めて見せてくれます。面白いですよ。

星を一つ減らしているのは、前著同様、地図が少ないことが残念だから。そうでなくともボリュームありますので、詰め込むのは難しいでしょうか。それならいっそ、写真なども入れたヴィジュアル版でも作って貰えたら嬉しく思います。講談社さん宜しくご検討の程、お願いします。

続くブルボン朝も楽しみです!

カペー朝に次いでヴァロワ朝をよみました。直木賞作家の賢一節は健在です。百年戦争、イタリア戦争と戦乱の中世らしく戦争の記述が多いです。個人的には、イタリア戦争の終結条約であるカトーカンブレッジ条約に方向ちがいのイギリスがはいっているのか謎がとけました。次はブルボン朝もちろんよみます。

「カぺー朝」につぐフランス王朝史の第2弾。

思い付くまま、佐藤氏の作品を書き連ねてみると、
 大元帥デュ・ゲクランを主人公とした『双頭の鷲』(シャルル5世)
 ジャンヌ・ダルクに題をとった『傭兵ピエール』(シャルル7世)
 氏の直木賞作『王妃の離婚』(ルイ12世)
 カトリーヌ・ド・メディシスとサンバルテルミの虐殺を描いた『黒 王妃』(シャルル9世)
・・・というあたりがヴァロワ朝の時代に含まれることになります。

総じて王は13人、歳月にすれば261年となるヴァロワ朝。
この長大な時間軸の中の、灼熱した一点一点をぐーっと微分していったのがこれらの作品群であり、
列伝の体を仮りそれら点と点の間にある行間を埋め、一つの時代を歴史として積分したのが本書。
新刊というコンパクトな体裁にかかわらず、ある点にとってエピローグであるものが、同時にある点のプロローグになっているというような歴史の滋味ともいえるものにあふれる本だと思います。
一方で、新刊としてキャパシティはパンパンであるようで(新刊で602ページもある)、説明は叙述に偏している印象が強く、他のレヴュアー同様、読みすすめるなかで、わたしも地図、系図に渇する思いがしました。

詳細な叙述でわかりやすかったです。cたとえば、「聖バーソロミューの虐殺では、もともと新教徒やコリニー提督を支持していたはずのシャルル9世がどうして一転して新教徒の虐殺を命じたの?? おかしいじゃん。」という疑問も解決。要するに、王の気まぐれで国の方向ががらっと変わってしまう時代だったんですね。よって、王の性格の理解が出来事の流れの理解に重要というわけで・・・。そういった代々の王たちの性格が的確にわかりやすく解説されていて、大変、勉強になりました。

ヴァロア家を祖に14世紀から16世紀に及ぶ13代の王の話。
この時代は百年戦争を始め、かの有名な「サン・バルテルミの大虐殺」を含む宗教戦争までの戦乱に明け暮れた時代だったようだ。
王にかかるストレスは、平均没年齢が43歳と若いことからも大変だったとわかると解説にある。
また、世界史上あまり著明でない王の事跡も良くわかり面白かった。
しかし、図表と人物相関図が乏しいので、それらがあれば理解の助けとなったのにと思う。

とにかく全編を通して固有名詞(人名、地名など)が多すぎる。例えば、135ページ〜
 
「その地勢を論じても、ペリー公領はフランス王国のほぼ中心にあった。ブールジュを都としながら、シャルル7世はペリーをはじめ、オニス、サントンジュ、さらにオーヴェニル、アジュネ、ケルシー、ルエルグ、ラングドック、ドーフィネ、リヨネと広がる南フランス、それにオルネアレ、トゥーレーヌ、アンジュー、メーヌ、ポワトゥーと北フランスの一部を加えた王国の半ば以上を支配していた。パリを含む北フランスの大半はアングロ・ブールギィニョン同盟の支配下にあるとはいえ、そのなかにも飛び地として、モン・サン・ミシェル、トゥールネ、ヴォークリュールというような城塞は保持していた。オレルアン公、アンジュー公、ブルボン公、アランソン公というような親王家、さらにはアルマニャク伯、フォア伯、コマンジュ伯、アルブレ卿というような有力諸侯の支持もある」
 
親切な文章なのか、典型的な悪文なのか。これだけ地名が出ているのに地図もないし、どんなレベルの読み手を想定しているのか。ただ、これでいて「読ませる」のだから作家としてたいしたものだと感服するし、紹介した上の文章を読んでもわかる通り並列関係などもすごく丁寧で誤読は誘発しないだろうから、上級者には受けるのかもしれない。が、個人的にはもっと標準レベルの叙述でフランス史を読みたかったので、☆は2つ!

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