ようこそ、おまけの時間に (偕成社文庫) の感想

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参照データ

タイトルようこそ、おまけの時間に (偕成社文庫)
発売日販売日未定
製作者岡田 淳
販売元偕成社
JANコード9784036517206
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

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これが数々の岡田淳の名作の中でもそう知名度が高くないのが本当に不思議だ。 その学校には午後十二時になると鳴り響くサイレンの音が聞こえる。 ぼんやりとしていると他人に批評される主人公の少年はそれを聞いてふと気付いた時、彼はイバラに囲まれて自分の席に座っていた。
辺りを見回すとクラスメイト達すべてが彼と同じようにイバラのつるに覆われて自分の席に腰掛けていたが、誰も彼もが目を閉じてイバラのつるに絡まれて死んだように眠っているのだ。 学校の中に張り巡らされたイバラは、生徒達個人個人をも取り込んで蔓延る。
たった一人、その中で目覚めた少年は自分のイバラをカッターナイフで切り裂き、そこから抜け出すと他のクラスメイトを囲むイバラも切り始めた・・・・・
十二時のサイレンの音と共に始まる、不可思議な世界。奇妙な空間。やがて目覚め始めた生徒達はそれをおまけの時間と呼びだす。
誰もが学校の中で、固い校舎の中で、行き詰まる思いしたことはないだろうか? あたかも傷つけることはないイバラのつるに縛られて、眠りつづける生徒達のように。 イバラを取り除くと目覚め始めた生徒達は、鉈やカッターやナイフを持ち出してそれを切り裂く。
昨今、問題になっているそれらを手にして、彼らは見事までに使いのける。ナイフや鉈を小さな手に握り締めても、彼らはそれを互いに向けるのではない。自分達を拘束し、学校中をがんじがらめに縛り付けるイバラのつるを切り裂いていくのだ。 誰もがハッとするではないだろうか? 学校中を、そして自分達をも取り込んだイバラの強大な姿に。
だが、これを風刺的だ、象徴的だなどと考える必要などない。全くない。そんなものはすっ飛ばしてもいい。 下級生から上級生まで一丸となって自分達を縛るイバラを切り裂いて行く生徒達の一人にあなたもなったとき、それは必ず痛快なまでの心の安らぎをもたらすことだろう。

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