涙を流し口から火をふく、四川料理の旅 (KanKanTrip) の感想

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参照データ

タイトル涙を流し口から火をふく、四川料理の旅 (KanKanTrip)
発売日販売日未定
製作者中川 正道
販売元書肆侃侃房
JANコード9784863851528
カテゴリジャンル別 » 歴史・地理 » 地理・地域研究 » 中国

購入者の感想

  中国料理の本はこれまでも日本では沢山出版されてきたが、ここまで徹底して街場の店を丁寧に取材し、料理を丹念に撮影した本はほぼ無いと言えるし、そう断言しても褒めすぎではないだろう。
 通常の旅行ガイドブックは広告を掲載しているホテルや大型レストランをそれとなく記事中にも登場させるのが日本に限らずアジアの出版社の常套手段。しかし、この書籍で紹介されているレストラン(麺や火鍋を含む)はどう見ても広告など出すつもり無ければ、出すわけがない地元のローカルな店ばかり。

 四川料理の旅と銘打っているが、四川省の省都成都市のみならず地方の都市まで出かけ、それも徳陽・宜賓・自貢・濾州など日本人の観光客もビジネスマンも絶対に訪ねる事の無い地味な街まで取材しているのは、恐れ入った。本当の四川料理の魅力を語るには、『巴』と『蜀』と呼ばれてた時代からの交通の要所にある古城を訪ねない限り、本物の美味には出会えないので、その点でもこの本の内容は『川菜(四川料理)』の歴史や伝統を知り尽くした上で取材をしている点も素晴らしい。

 かといって、キワ物に走っている訳では無く、成都市内で『川菜』定番の『小吃(四川料理で点心類という意味)』は紹介しているし、観光の新しいスポットになっている『寛窄巷子』『錦里』のイラストマップもあり、成都市郊外の豆板醤の故郷にある川菜博物館も訪ねており、成都へ行くなら使えるガイドブックでもある。
 著者が日本人と中国人の二人で、それぞれの得意分野を生かした取材と記録であることは間違いなく、そこに編集者やデザイナーの後方作業がマッチした、かなり突出した出来栄えの料理文化を紹介した本と言い切ろう。

レストランの住所や電話番号まで書かれている点ではガイドブックとしての利用価値は大きいし、作り方の説明文と料理のカラー写真が掲載されている点では料理紹介本として読むのも楽しく、四川が独特の料理文化を生み出した背景も描かれていて、中国料理に関わる者なら持つべき書籍。中国語でもこのような書籍は無いので、ぜひ外国語でも出版してもらいたい。

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書肆侃侃房から発売された中川 正道の涙を流し口から火をふく、四川料理の旅 (KanKanTrip)(JAN:9784863851528)の感想と評価
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