誰でも勝てる! 完全「ケンカ」マニュアル (DVD付) (BUDO‐RA BOOKS) の感想

私は合気会系の合気道をしておりますが、合気道は、例えば正面打ちや
横面打ちなど、あまりリアルではないかかり方をしてきます。
木刀を持っていない、体術だけでの稽古が中心ですから、仕方ないのですが、
そのへんのモヤモヤを晴らしてくれる、たいへん痛快な本だと感じました。

もともと、大阪を中心に伝えられてきた、アンダーグラウンドな護身術の流れが
あり、著者はそれを受け継いでおられるようですね。

しっかりと体系づけられた、ひとつの立派な武道だと感じました。

髪取りで馬乗りを返す方法や、金的蹴りで腰を引かせてからの腰なげ、マウントを
小手返しのように首をひねることで跳ね返す方法など、武道をやっている方が
もう少し踏み込んで、実際の護身に応用するヒントが満載の本です。

林先生ご自身は、もともと空手をやっておられますが、実際の喧嘩には
ヤクザキックのほうが使える、とか、とにかく実戦の経験からこられる
コメントに、ものすごく説得力がありました。

林先生は、建設現場でのとりまとめ役などを長くされていたそうで、決して
弱い者をいじめるために使っておられたわけではありません。そのへんも
好感が持てました。

著者、林悦道氏の体験に裏付けられた良書。
普通の格闘技解説本に見られる技術解説とは異なり、あくまで著者の実体験に基づく
ケンカ技が紹介されています。
中でも必見は頭突きとテイクダウン技術、そして格闘競技とは一線を画する
ケンカならではの技の数々でしょう。
これらは格闘技の経験があれば、多少の練習で身に付けることができそうです。
ドスの使い方云々のくだりなど、著者の現役時代は現在とは比べ物にならないほど
法的に緩かったことが垣間見えますが、ショベル活用法等、現代でも充分に応用可能な技法かな。
このほかにも格闘技修行中の身ならずとも興味深い技術が分かりやすく紹介されています。
まあ、、それでも、この本の本質は『避けられるケンカは、まず避けろ』でしょうけどね。

一時期在庫切れのようでしたが、再入荷されたみたいですね。
興味のある方はまた在庫切れにならないうちに購入されることをお勧めしますよ。