欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書) の感想

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参照データ

タイトル欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者苅谷 剛彦
販売元講談社
JANコード9784061498662
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

本書は、教育学者として著名な苅谷剛彦氏と、ジャーナリストとしてインター
ナショナルスクール等の取材や著書をお持ちの増田ユリヤ氏の対談形式を
中心に書かれた本である。対談は、日本で行われたものと、イギリスのオッ
クスフォードで行われたものであり、対談内容は日本の教育改革を中心に、
フィンランドの教育、インターナショナルスクールの教育、英語教育、絶対
評価の厳しさ、総合学習等にも及んでいる。なお、一部、苅谷氏と増田氏
一人によるエッセイも含まれている。

苅谷氏の本書での一番の主張は、タイトルにも表されているように、日本の
教育予算や一教室の生徒数といったハード面の改革をせず、教育の現状を
正確に把握することなく、理想論の下に提言される様々な欲張った「ポジ
ティブリスト」が、日本の教育を悪化させている、というものである。

現状を冷静に見据えた苅谷氏のこの主張は、あれこれ欲張り、要求ばかり
を付きつけ、まるで教育を「魔法の杖」とみなして過熱している感のある
教育論議と、説得力のあるかたちで対峙している。次々と「改善につながるか
分からない改革」を押し出す日本の教育政策の現状において、苅谷氏のこの
主張は、非常に高い価値と説得力を感じる。

しかし、である。他のレビューとは違う評価のようだが、本書の「本」として
の価値は、対談形式にしたことで下がっていると言わざるを得ない。
苅谷氏のこういった主張が、増田氏との対談を通してほとんど深まっていか
ないのである。教育問題に対する増田氏の視点の付け方が苅谷氏とは違い、
その点を苅谷氏も「示唆」する場面もあるのだが、増田氏の主張は、ご自身の
一部の取材から得た印象論からあまり発展を見せないのである。そう考えると、
対談の意義とは何なのだろうか、と感じざるを得ないのである。

総じて言えば、苅谷氏の主張の深さが、対談形式にすることで伝わりにくく
なっている印象を受けてしまった。その意味では、苅谷氏1人によるエッセイ
の箇所が一番興味深く読めた。

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