喰う寝るふたり 住むふたり 4 (ゼノンコミックス) の感想
参照データ
タイトル | 喰う寝るふたり 住むふたり 4 (ゼノンコミックス) |
発売日 | 2014-08-20 |
製作者 | 日暮 キノコ |
販売元 | 徳間書店 |
JANコード | 9784199802270 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック |
購入者の感想
涼し気な表紙が目を引く第四巻ですが、ザッピングによる物語構築がより巧みになっているように感じられました。二人の小旅行での心情を書いた「出不精たちの一泊旅行」では男性の目線、女性の目線で良くわかるというような心情の変化とそれに伴う苛立や感動などを読む事ができ、作者の日野さんが人間関係における空気感の微妙な機微を読む事、そして書く事に非常に長けている人なのだと再認識することができました。大切な人に喜んでもらいたいと思う感情、大切な人であるからこそ悪い所を治して欲しいという感情、それらが思わぬ形に現れてしまうことの心苦しさを書くのが異常な程に上手く、またその解決も鮮やかです。「リツコ、風邪を引く」はタイトル通りに、その内容はこの作品のほっこり感を象徴しているようにも思えます。「同窓会」は今巻の肝になるでしょうが、これは高校を卒業した年齢にある人が読むと非常に良くわかる、という内容になるのではないでしょうか。女性同士の関係にありがちな、一種の「当てつけ」に思えるような女子の振る舞いにも主人公の視点として共感できる人も多いかもしれません。とにかく、この作品は男性と女性を、おおらかに物事を考え包み込む人間と鋭敏に物事を洞察する気の強い人間の関係とを主人公に据えており、それを作者がザッピングの形式に本当に巧みにまとめあげているため他の漫画作品とは異なる楽しみ方のできる作品になっています。この作品に影響を受け、一つの切り取った時間とシーンにあって、男性の視点を男性作者が書き、女性の視点を女性作者が書くなどという手法が今後とられていくというような作品が生まれたら面白いなどと考えてしまいますね。何はともあれ、とても良い恋人関係に新刊が出る度に憧れてしまいます。いいなあ、と微笑ましく思ったり、悲しくなったりもする、素晴らしい作品です。