生きるってなんやろか? の感想

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タイトル生きるってなんやろか?
発売日販売日未定
製作者石黒 浩
販売元毎日新聞社
JANコード9784620320199
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 論文・評論・講演集

購入者の感想

鷲田大人の絶妙の聞き手を得て石黒という稀有の人材の仕事・研究が浮かび上がってくる。

.アンドロイド(人型ロボット)には、センサーの感度により人の気配で振り返るという人間の動きを実装している。
人は、観察するとき五感のチャンネルを使う。しかし、食事の際は、盛り付け、香りは二の次ぎに「うまい」に集中する。うまい以外は、意識下で働いている。
現在のアンドロイド段階でも意識的にはアンドロイドとわかっていても、意識下では人間だと受け止めているところがありそうである。
それは、人がアンドロイドを見るときの眼の動きが物を見る時のそれと全く違っていて、人を見るときの眼の動きと非常によく似ているのである。
無意識の働きは、今後の研究にとって重要となる。脳科学・認知科学も重要なパートナーである。それらがロボット工学と融合することにより仮説の検証も可能となる。

.ジェミノイド(本人もどきのアンドロイド)を動かしたとき、どうしても自分とは思えなかった。反発さえ覚えた。ところが、みんなはそっくりだと言ってゲラゲラ笑った。自分の声の録音を聴くと他人の声に聞こえるのと同じだろう。
動きや癖に関しては、他人の方が余程よく知っているのだ。
乱暴に言うと七八割くらいしか自分の事を理解していないのかもしれない。残りの二三割は、多分これで大丈夫だろうという予測の下で動いているのかもしれない。
この予測があるからこそ、複雑な体を不自由なく制御し、複雑な社会の中でその一員として認められているのだと思う。
これが、「のり代」の役割を果していて、そこに人間の本質に関する非常に重要な秘密が隠されているよに思う。

.ジェミノイドの操作は、ジェミノイドと訪問者の二つのモニター映像がインターネットを介して送られてくる。操作する側は、パソコンの前に座ってモニターを見ながら話すだけである。口と首の動きが画像処理され、解析されその動きがインターナットでジェミノイドの口に同期し言葉を発することで訪問者と実際に会話が出来る。殆ど、違和感はない
このように、遠距離操作が可能であるということは、脳と体とは密接に繋がってはいないのかもしれない。

阪大総長の鷲田清一氏とロボット工学の石黒浩との対談集。自分は他人との関わり合いでしか知ることが出来ないので、他人との関わり合いを多く経験することが大切であるということ。
また、今おかれている安定した状況に満足するのではなく、色々と揺れ動く経験が重要であるとのこと。ただ、食べて寝るだけでは動物と同じなので、とにかく考える必要ががある、という石黒氏の指摘には納得させられた。

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