地震と独身 の感想

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参照データ

タイトル地震と独身
発売日販売日未定
製作者酒井 順子
販売元新潮社
JANコード9784103985082
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » さ行の著者

購入者の感想

ああ、こういう視点があるんだなあ。

というのを、酒井順子はいつも淡々と書いてくれる。
のでこれもすごく楽しみにしていたし、面白く読めた。
私自身は既婚で子持ちなので、そういえば震災のときは
原発ガーとか政府ガーみたいなことでいっぱいいっぱいだった。
子供の心配をしていると、それだけで時間はどんどん過ぎてゆく。
でも、独身だったらまるで違うものとして震災を経験するだろうし、
「絆」とか言われてもハァ?ってところがあるだろう。
そういう心の揺らぎみたいなものを、とてもきれいな文体で語ってる。
そして改めて、すごく絶妙なバランスの上に成立している本だし、
酒井順子は不思議な人だなあ、と思った。

たとえば村上春樹の『アンダーグラウンド』を読んだとき、
虫酸が走った。大作家さまが何人かにインタビューをしただけで
したり顔で語る権利があるのだろうか?
このインタビューはいったい何を、どこを掬いとってるのだろうか?
分析もなくダダ漏れる「事件を見つめ、考えたオレ」にうんざりした。

でも、この本は「事件を、取材を通じて語る」といえば同じスタンスなんだけど、
限りなくクールで、優しくて、そして賢い。
震災のすべてを語り得ないことなんてよくわかってて、
インタビューで掬えるものなんてごく一部であることもわかってて、
ただ「“絆”っていわれても、そこからこぼれ落ちる人もいる」ってことを
すごく淡々と描くだけ。ベタベタしたいやらしさとか、主観的なヒロイズムとか、
そういうものを寄せつけない賢さがある。
(あるいは、震災から3年たって出版されたということは、
ベタベタとした主観性を削ぎ落すのに時間がかかったのかもしれないけど)

もちろん、インタビューにおいてなんとなくの「オチ」が必要とされ、
ちょっといい話にまとまってないか?というエピソードもあるにはある。
ただ、それって本という形にする上での必然であって、

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