オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書) の感想

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タイトルオスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者鈴木 董
販売元講談社
JANコード9784061490970
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » アジア史 » その他

購入者の感想

塩野七生氏の「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」等で、時には残酷であるけれども魅力的な(ある意味騎士道精神を感じさせる)敵役として描かれるオスマン帝国が当時なぜあれほど強かったのか、イェニチェリをはじめとする軍制の起源は、などの疑問に答えてくれる良書です。将来の争いの種を断つために君主の兄弟殺しをイスラム法学者が是としたり、シーア派の粛清を行ったり等の残酷な面もありますが、総じて多民族・多宗教の共存に成功し、社会階層間の流動性が高く、それでいて当時の西欧諸国にはない常備軍と中央集権体制を備えていたことが隆盛の鍵であったことを本書は教えてくれます。一神教と多神教の違いはありますが、まるで元首制までの古代ローマを連想させてくれます。一神教の狂信ゆえの弊害を歴史的に長期にわたってこうむったのはキリスト教国であり、イスラム教国のほうが開明的であったこと、その帝国の基盤を揺り動かすことになる大きな要因は、西欧由来のナショナリズム・民族主義の噴出であり、それこそが現在の様々な国際問題の引金になったことを考えると、種々の欠陥はあったものの、イスラム教だからと及び腰になることなく、我々はこの多民族・多宗教の共存に成功した国の歴史から学べることは少なくないと考えます。

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