制御工学の考え方―産業革命は「制御」からはじまった (ブルーバックス) の感想

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参照データ

タイトル制御工学の考え方―産業革命は「制御」からはじまった (ブルーバックス)
発売日販売日未定
製作者木村 英紀
販売元講談社
JANコード9784062573962
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 工学 » メカトロ・ロボット工学

購入者の感想

セイギョコウガク…。門外漢にはなんとも硬く、難しげで、一部の専門家以外には必要なさそうに聞こえるこの分野。ところがどっこい、これがじつに面白いのだ。

本書の前半では、ワットの調速器から始まる古典制御理論からカルマンの現代制御理論までの歴史と考え方のエッセンスがわかりやすく解説されている。フィードバック制御系やフィードフォワード制御系といった考え方は、専門外の我々も漠然としたイメージのままよく使うが、より厳密な理解が得られて有益である。

そして本書後半では、制御理論がどのような分野に活用されているのかを、豊富な事例を通して紹介している。ルームエアコン、ハードディスク、自動車のさまざまな機構、製鉄所の溶鉱炉の制御といった工学的な分野はもとより、最近では生物学、経済学、脳科学といった他分野にまで制御工学が応用されつつある。

制御工学の面白さは著者も本書の中で繰り返し語っているように、その普遍性にある。制御にかかわる現象は工学の分野を越えていたるところに存在しており、制御工学はそれらを扱うための理論的基盤となりうる。

制御系を組む場合に一番最初にしなくてはならないことは、目標をしっかり立てることである。制御工学を他分野で生かすために意外と難しいのはここだと思われる。

特に人間や社会に適用する場合、これらがどういう目的を持った制御系なのかを厳密に定式化するのは難しい。だが、それさえ乗り越えられれば、制御工学は人間や社会の振る舞いを記述する強力な武器になりうると考えられる。

本書を読むと制御工学の考え方をいろいろな分野に応用してみたくなってくる。制御工学以外の分野の人に特にオススメな本。

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