それでも、日本人は「戦争」を選んだ の感想

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参照データ

タイトルそれでも、日本人は「戦争」を選んだ
発売日販売日未定
製作者加藤 陽子
販売元朝日出版社
JANコード9784255004853
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

評者が本書のタイトルを見て購入ボタンを押した時点で期待していたのは、日本の大衆が無謀な戦争(太平洋戦争)へと突き進んだ事実についての集団心理ないしは社会心理学的な側面からの検証だったのだが、それについては全くの期待外れだった。

さて、多くの読者は戦争を中心に据えつつ近代日本の歴史を解説した本と受け取るのではないかと思う。本書にそういう要素があるには違いないが、評者には本書の思想的な側面が気になって仕方がない。それこそが面倒ではあるが評者がこのレビューを書いた動機である。

本書の内容に関して驚くべきことをまず一つ指摘するなら、戦争熱を煽った新聞等マスコミに関する記述が皆無ということだ。日清戦争(第1章)には新聞の論調に触れた箇所は多少あったが、評者の関心事でもあった太平洋戦争のあたりとなると、当時の新聞による扇動に関する記述は全く無い(正確を期すなら、被害状況の紙面への記載に関しては若干の記述がある)。これは書物のタイトルを考えれば不思議なことであり、加えて結構な分量の本であることも考えればますます怪しい。ずいぶん偏った書物である。意図的に知らぬふりを決め込んでいると見るべきだろう。ちなみに、本書(文庫版)は新潮社が出しているが、元の(文庫版でない)書籍は朝日出版社の刊行とのことである。

序章から最終章の5章までの部分(以下、本レビューでは本体部分と呼ぶ)は高校生を相手に行った講演をまとめたものらしい。本体部分への追加の体裁で、「おわりに」、「文庫版あとがき」、そして「解説」と題した記述(以下、これら3つを追加部分と呼ぶ)が掲載されている。なお、「解説」は本書の著者とは異なる人の執筆になる。

本体部分では歴史を題材にして読者を偏狭なものの見方(思考様式)へと誘導する記述(※後述)が繰り返されている。これは読者の思考・判断能力を低下させるためのお膳立てのように思える。そうした上で、追加部分に割と露骨にイデオロギー色を伴う教示が示されている。読者がそれら教示を素直に受け入れるなら、左翼勢力にとって好都合なことだろうと思う。なお、追加部分ほど鮮明ではないが本体部分にもイデオロギー的な主張がたっぷり入っていると評者は感じる。

私は50代ですが、学校での日本史や世界史の授業は、近代は時間がなくてカットされ続けて一度も学べなかった世代です。今思えば、これは意図的な授業の進め方だったと思っています。ですから、自分自身で考えるために、欠落した情報や知識を埋めようと思い、色々な本や特集番組などを観ています。
この本は、その当時の色々な状況(色々な側面から)を踏まえて書かれているので、非常の役立ちました。そして、今の高校生は多くの機会があり、歴史についてもよく勉強していると感心しました。私は、この歳になるまで歴史には関心がなく過ごしてきました。そのため、国と国との色々な紛争や隣国の言動、一方的な歴史解釈などを聞くたびに、自分の知識のなさがゆえに、無関心を装っていました。しかし、その内容をきちんと考えられるためにも、このような歴史の流れを、色々な角度から見る方法をも教えてくれる本だと思ます。

 この手の本に対しては、様々な意見があるでしょうし、それは書き手も出版社も重々承知の上でしょう。
 内容としては、そもそもが高校生相手の講義採録となっていますので、体系立っているし、マニアックでもないし、良いのではないかと思いました。私の知らなかったこともずいぶんありましたし。
 そして、結論としては、あとがきに書かれている通りだと思います。そこにはこうあります。

 あの戦争はなんだったのか」式の本に手を伸ばし続けることになりそうです。なぜそうなるかといえば、一つには、そのような本で
は戦争の実態を抉る「問い」が適切に設定されていないからであり、二つにはそのような本では史料とその史料が含む潜在的な情報す
べてに対する公平な解釈がなされていないからです。

 世間が総括してくれないならば、自分で総括するしかないのかもしれません。もっともっと学ぶ必要がありますね。

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