社長は労働法をこう使え! の感想
参照データ
タイトル | 社長は労働法をこう使え! |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 向井 蘭 |
販売元 | ダイヤモンド社 |
JANコード | 9784478017043 |
カテゴリ | 社会・政治 » 法律 » ビジネスの法律 » 労働法 |
購入者の感想
【解雇すると賃金を二重に支払わされる?】
この本では,解雇を行った場合,仮処分命令と本案判決により,賃金を二重に支払わなければならないとの記載があります。しかし,これは仮処分執行と本執行との関係,という超基本的概念を著者が理解していないことに基づく客観的誤りです。その点については,千代田化工建設事件(東京高裁平成5年5月26日労判675号 85頁)において「仮処分判決によって命じられた金員は全額仮払済みであるところ、その本案における仮執行宣言付判決により右仮払金の全部を含む金員の支払請求が認容されたのであるから、仮処分判決に基づいて仮払された金員は右仮執行宣言付判決により本執行に基づくものとみなされるに至ったものである。」と明確に判断されております。つまり,仮処分命令に基づいて金員を支払っていれば,その後に仮執行宣言付き判決がでた段階で,既に支払った金員が本執行に基づくものとみなされるので,別途に二重に本執行をされるということはないのです。
著者は著作発表後そのブログで,賃金二重払いの「事実上のリスク」などと補足説明をしていますが,事実上のリスクすら本来ありません。事実上のリスクがあるとすれば,そのような基本的概念すら理解していない弁護士を依頼してしまった場合だけではないでしょうか?
このように超基本的概念についての理解のかける著者が描いた著作については全体的に信用がおけるものではありません。
その他にも法的な観点から突っ込みどころが満載で,労務トラブルを回避したい「社長」にはとてもお勧めできません。
この本では,解雇を行った場合,仮処分命令と本案判決により,賃金を二重に支払わなければならないとの記載があります。しかし,これは仮処分執行と本執行との関係,という超基本的概念を著者が理解していないことに基づく客観的誤りです。その点については,千代田化工建設事件(東京高裁平成5年5月26日労判675号 85頁)において「仮処分判決によって命じられた金員は全額仮払済みであるところ、その本案における仮執行宣言付判決により右仮払金の全部を含む金員の支払請求が認容されたのであるから、仮処分判決に基づいて仮払された金員は右仮執行宣言付判決により本執行に基づくものとみなされるに至ったものである。」と明確に判断されております。つまり,仮処分命令に基づいて金員を支払っていれば,その後に仮執行宣言付き判決がでた段階で,既に支払った金員が本執行に基づくものとみなされるので,別途に二重に本執行をされるということはないのです。
著者は著作発表後そのブログで,賃金二重払いの「事実上のリスク」などと補足説明をしていますが,事実上のリスクすら本来ありません。事実上のリスクがあるとすれば,そのような基本的概念すら理解していない弁護士を依頼してしまった場合だけではないでしょうか?
このように超基本的概念についての理解のかける著者が描いた著作については全体的に信用がおけるものではありません。
その他にも法的な観点から突っ込みどころが満載で,労務トラブルを回避したい「社長」にはとてもお勧めできません。