シッダールタ (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルシッダールタ (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者ヘッセ
販売元新潮社
JANコード9784102001110
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ドイツ文学

購入者の感想

この作品は内面へ内面へ向かうヘッセの作風が最も色濃く出ている。ヘッセというと『車輪の下』がどうしてもいちばん有名であるが、この本があまり読まれていないのは残念な事である。シッダールタが真の悟りに達するまでの過程を、シッダールタの悩みや苦しみを含め丁寧に描いた作品である。心理描写の良さと、インド哲学を深く理解したうえで組み立てられた作者独自の哲学世界が味わえる、小説としても良くまとまっている作品。

物語の後半で、ゴーヴィンダに再開したシッダールタが
言ったことが印象に残っている。
たしか
さぐり求めてばかりだと、目標に取り付かれるので、
何も見出すことができなくなるし、何も心に受けいれられなくなるよ。
というようなことだった。
目標があるから、がんばれる。ということは、よく言われるし
もちろんそれで、うまくいくことは多い。
しかし目標があるから、かえって見えなくなってしまうことも
多いのだろうと思う。
人間がすごいのは、目標が達成できることより、
失敗したり、挫折したり、不安を抱いたりできることの方ではないか。
これは能力だ。
あと飽きるって言うのもすごい能力だと思う。
飽きるから、他のことを、せざるを得なくなる。
それが結果として
その人の幅を広げてくれるってことはあると思う。
この能力で人類はどれほど救われてきたか。
もちろん自分が挫折の渦中にいたりすると、
そんな悠長なことは言ってられないのだが。
でも目標にとらわれすぎている時は、なにか
他の多くのものを取りこぼしている気がするのだ。
シッダールタは、
「さぐり求める」の反対は「見いだす」
だと言っている。
見いだすとは、自由であり、心を開いており、目標を持たないことであると。
さぐり求めるのではなく見いだす。
こう思うだけで、今までとは違う見方ができるんじゃないだろうか。

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