マンガ生物学に強くなる (ブルーバックス) の感想

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参照データ

タイトルマンガ生物学に強くなる (ブルーバックス)
発売日販売日未定
製作者堂嶋 大輔
販売元講談社
JANコード9784062578721
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » 生物学

購入者の感想

 高校の生物学をマンガにするのは歩が悪い。現在の教科書はカラー化していて、図版も正確だからである。それに『LIFE』を訳したブルーバックスの『大学の生物学教科書』も優れた図版で評価が高い。それらの図をマンガにしただけでは、かえって本の価値が低くなってしまう。そこで、著者の堂嶋氏がこの本を生むきっかけになったホームページ「マンガでわかる!超・高校生物入門」で取った戦略は、理解しにくい単元(浸透圧、耳のしくみ等)の図をアップにしたりロングにしたり、視点を変えて説明することだった。
 ただ、本書は全篇描きおろしなのでホームページのマンガは使われていない。著者は前掲ホームページで現行の高校「生物基礎」「生物」の内容のどの分野を本書では扱ったかを示していて、扱われた範囲は「生命の連続性」に該当する内容である。つまり細胞、遺伝子、細胞分裂、染色体、発生、遺伝、バイオテクノロジーである。『生物基礎』の範囲であっても、恒常性や生態は扱われていない。そこで、どうしても高校教科書の一部を絵解きした感がある。生物部の生徒が国際生物学オリンピックに挑むため、上級生が下級生に「教える」という体裁なので、教員が「教える」教科書スタイルを継承してしまっている点が残念である。せっかく生徒キャラを使うのだからQ&A方式で生き物の本質に斬り込んでいった方が良かったのではないだろうか。ただ旧『生物I』の範囲に留まらず、深入りした説明もあり、その部分は教科書の「発展」の記述よりも詳しい点もある。例えばタンパク質分子を折りたたむ分子シャペロンの機能、細胞分裂の際の紡錘糸の機能、硬骨組織の細胞や脂肪組織の細胞、カエルのオタマジャクシの見分け方等。
 先生キャラも登場するので、先生は生徒が学習した範囲から得た生物学の常識を打ち砕く「爆弾キャラ」であって欲しかった。例えばメンデル遺伝の後にマクリントックの「動く遺伝子」の話題にふるとか、生物学史上モーガンの白眼のハエの遺伝が染色体上に遺伝子があることの証明になったこととか、サンガーがタンパク質のアミノ酸配列を明らかにした画期的な方法とか、最近重視されない傾向があるが遺伝学と生化学を結びつけたギャロッドやビードルたちの一遺伝子一酵素説とか、細胞の分裂回数に限りがあったとか、アポトーシスの意義とか、その他もろもろ。

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