臨床家のためのDSM-5 虎の巻 の感想

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参照データ

タイトル臨床家のためのDSM-5 虎の巻
発売日販売日未定
製作者森 則夫
販売元日本評論社
JANコード9784535984028
カテゴリ » ジャンル別 » 医学・薬学・看護学・歯科学 » 精神医学

購入者の感想

DSMには数多くの意見がありますが、少なくとも研究用には採用しなければなりません。
その変更点をぱぱっと確認できるという点では、この本は薄くて何より値段も安く、適切だと思います。
DSM登場の歴史や変遷なども少しですが語られており、面白いなと思った若手精神科医はそこから精神医学そのものの歴史やその背景にあるヨーロッパの歴史へと勉強を広げていくのも悪くないかもしれません(中井久夫先生の『西欧精神医学背景史』など)。

ただ、この様な解説書というのは、良いか悪いかは別として解説者の色が出ます。
例えば、編著者に杉山登志郎先生の名前があるように、発達障害や虐待についての解説やコメントは杉山先生のお考えが色濃く出ていますし、児童青年期の精神疾患に割くページ数も多いです。
対して、単極性うつにおいても双極性障害においても、DSM-IVでは”産後の発症”というspecifierがDSM-5では”周産期発症”に変更になっていますが、これについては「変更になった」とのみ記載され、それ以上の解説は記されていません(個人的には大きなトピックなのですが)。
強迫性障害も強迫関連障害として不安障害から独立しましたが、なぜそのようになったかという記載もなく、やや物足りなさを感じる部分もありました。

よって、詳しさにおいてややムラがあります。しかし、足りないと思ったところは自分で勉強するものでしょうし、コメントのある部分は貴重なご意見ですし、純粋に変更点を確認するという意味でもこの薄さと値段であれば悪くないと思います。

DSMは安易に臨床に使われるべきものではありません。DSM-5においても「使用法」で”経験のある臨床家によって使用されるべきもの”という記載があり、診断基準を使うことそのものへの注意も促しています。これはDSMの一貫した態度です。図らずもDSM-IVはポケットタイプのマニュアルが乱用されてしまった経緯があるため、同じ轍をDSM-5が踏まないことを祈っています。

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日本評論社から発売された森 則夫の臨床家のためのDSM-5 虎の巻(JAN:9784535984028)の感想と評価
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