カフカ短篇集 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトルカフカ短篇集 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者カフカ
販売元岩波書店
JANコード9784003243831
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ドイツ文学

購入者の感想

カフカの作品群の中では最も読み易く
それでいて内容も濃い一冊。
入門にも最適と言えるし、変身、審判、城などの代表作で挫折したままになっているが、なんとなくカフカを無視できないでいる方などにもお薦めできる。

名作とされる長編のいくつかは、意図的に理解を拒絶するような描写や、迷う事自体を目的とした文章に量が割かれているとも考えられ
代表作の原型ともいえるようなアイデアが短い分量で構成されている本書の方が、
評価はさて置き、入り易いのは間違いない。

2ページほどしかない掌編の、最後の2行で読者をはっとさせるような構成力。
突飛で荒唐無稽に見えるが、どこか不気味な現実感を帯びた仕掛け。
短かろうと充分にカフカらしい魅力はつまっている。
基本的に誤魔化しの効かない作家なので、そんな手強い大作家の作った迷宮で途方にくれてしまった方は、是非本書を手にとるといい。

文学的な雰囲気の無い話で恐縮だが
気難しい上司に、仕事に対する姿勢なんかの説教を受けている状況はよくあると思う。
そこで、この短編集にある町の紋章の話をする。
仕事につまった時にいつもカフカがこんな事を書いてな、と思い出すんですよ。といった形で。
そうると、決まってその手の上司はウーンと考えこんで、説教から脱する事が出来た。
そんな時、とかく難解と言われるが決して現実と乖離した作家ではなかったのだなと思う。
本質を突き詰めてこれほど純度の高いエッセンスにできた者が他に居なかったと言うことだろう。
やはり、読まずにおくには惜しい作家だ。

個人的には「中年のひとり者ブルームフェルト」という作品がおすすめ。
それなりに裕福な中年男性の前に奇怪なボールが現れて、彼に悪さをするのですが、
実は彼は職場でボールよりたちの悪い人間たちに囲まれて苦しんでいることが後になってから分かります。
怪異の害と現実の人間がもたらす害の比較に注意して読むと面白いです。
「万里の長城」も面白い。
長城の築城論から始まる、中国皇帝と民衆批評風の物語です。
どれもこれも自分の既存の概念体系に不意打ちを仕掛けて壊してくれる嬉しい奇襲に満ちています。ぜひご一読を。

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