定年楽園 の感想

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大江英樹氏の最新作『定年楽園』を拝読しながら強く思ったのは，定年退職を経てその後の人生をどう展開していくか，いけるかは，とりもなおさず，自分自身の再定義に他ならないということである。大切なのは，再雇用・転職・起業のいずれを選ぶにせよ自分なりにきちんと再定義できることである。そして言うまでもなく一番不味いのは，再定義に失敗し過去への余韻に浸り続けたり生活を持ち崩してしまったりすることだろう。

その点，氏のアドバイスは，

> 最大の不安は｢孤独になること｣
> 60歳からの多様な働き方
> それほど簡単ではない地域活動
> ｢勘違いボランティア｣に気をつけよう

などなど具体的で傾聴に値する。

ちなみに僭越ながら私は，同氏が前職を退職後起業し事業を着実に拡充させつつ，私生活でもまた活き活きと過ごす様をその都度驚嘆の思いとともにつぶさに拝見してきた。そうした自らの体験や見聞にしっかり裏打ちされた本書は，とりわけ40〜50歳代のサラリーマン諸氏にとっては大いに参考になるはずである。

死亡退職でもない限り，宮仕えを終えた後も人生は続く。その平明な事実をなるべく早く直視し，仕事の傍らその準備を始めるのが賢明なのではないだろうか。