英語の歴史―過去から未来への物語 (中公新書) の感想

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タイトル英語の歴史―過去から未来への物語 (中公新書)
発売日販売日未定
製作者寺澤 盾
販売元中央公論新社
JANコード9784121019714
カテゴリ人文・思想 » 言語学 » 英語・英語学 » 英語学

購入者の感想

もともと「朝日中学生ウイークリー」で連載していたものを斎藤兆史の勧めで新書化したものらしい。
なので『英語の歴史』と銘打ってはいるものの、主に取り上げられてるのは英単語のスペルや意味の変化を通じた英語の雑学である。
一章完結型になっているので良く言えばどこからでも読めるが悪く言えば散漫で一貫性のない構成になっている。
巻末に年表があるので本文で知った事柄を整理することは一応可能である。
通時的な英語の歴史を学びたいならメルヴィン・ブラッグ『英語の冒険』の方が良いと思う。
放送大学の講義ではこの『英語の冒険』を原著を購読用のテキストとして利用していた。
著者の寺澤盾は寺澤芳雄の息子である。

良書。語彙、発音、文法、綴りなど扱う内容は多岐にわたるが、さりげなくも、非常にツボをついた話題選択がなされており、何度「へ〜」と思ったか知れない(ちなみに私は、過去に類書――たしか『英語を学ぶ人のための英語史』という本だったと思うのだが――を読んで英語の歴史的な経緯をおおまかに覚えていただけの素人)。「主張」や「思い」をこめた本も世の中に多く存在するが、本書のように事実を丹念に追う本もやはりいいなあ、知らないことを知るのはやはりいいことだなあと素朴に思い返したりもした。私が面白く思ったことの一部を紹介。

●9世紀にデーン人侵入に苦慮したアルフレッド大王がデーン人と条約を結んで、デーン人が自分たちの法律で統治できる地域を指定。Derby,Rugby,Whitbyなど-by(北欧語で「町」の意味)がつく地名が今も600以上あるのはその名残。またAndersonとかJohnsonなどといった-sonという名前も北欧起源で、「〜の息子」の意味(父称)。
●助動詞doを使った疑問文や否定文は、(語形変化消失の代償として固まった)「SVO」の語順保持の傾向と相まって発達(have you 〜?ではなくdo you have 〜?にすればSVOの順は失われない)。
●ジュリエットがロミオを呼ぶときの二人称は最初you(当時は敬称)の系列を使っていたが、途中から親しい呼び方thouの系列で呼ぶように変わったこと。
●mayやcanが、「可能」から「許可」をへて「軽い義務」をあらわすようにもなっていること。
●大母音推移のこと。

こまごまとしたことを含めて面白かった点を全部書くとたぶんこの20倍ぐらいになると思う。以上これから読む一助になれば幸いです。

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