「うつ」を治す (PHP新書) の感想

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参照データ

タイトル「うつ」を治す (PHP新書)
発売日販売日未定
製作者大野 裕
販売元PHP研究所
JANコード9784569610849
カテゴリジャンル別 » 暮らし・健康・子育て » 家庭医学・健康 » ストレス・心の病気

購入者の感想

鬱病が「心の風邪」というキーワードで大々的にもてはやされた時期の本である。その時期、つまり「休息をとって薬を飲めば治ります」という本が山のように出ていた時期の本にしては珍しく、薬物療法、認知療法、社会的処遇という三本柱で丁寧に解説している。今でこそ認知療法、認知行動療法は大きな評価を得ているが、当時はまだそういう大きな潮流はなかったのである。それだけ古い本であるにもかかわらず、具体的な薬の名前以外の点は15年後の今でもまだ通用する、というのがこの本の素晴らしさである。

なお、初学のかたには、本書の増補改訂版『最新版 「うつ」を治す』から入ることをおすすめしたい。

この本では、前半ではうつ病が病理学的にどのようなものかということが述べられ、後半ではその具体的な治療法が心理的、薬物、社会的な側面からそれぞれ述べられている。そして、著者ははじめから最後まで読むのが億劫になっているわれわれ患者に、温かいメッセージを与えてくれる。
「うつの人と言うのは、几帳面できまじめな人が多いといわれているので、初めからすべて読まなければ気がすまないと言うふうに考えてしまいがちですが、それはかえって逆効果です。ですから、後半だけを読んで、療養法を知った後に、余裕が出てきたら前半を読んでください」
ある意味目からうろこものであった。著者はうつの心理状態をよく理解している。そういうふうに思った。医師でも精神科見習いのような医師は、ここまでうつ病患者の配慮はできないのではないだろうか。そうして私も例に漏れず、はじめは一番前からすべてを読むつもりであったのだが、著者が言うように、後半だけをまずは読むことにしようと思った。
このほかにも、文章の一つ一つに著者の優しい配慮が見え隠れしている。著者は多くの医者がなりがちな高慢な態度になることは決してなく、同等の視線で患者に接してくれる数少ないお医者さんだ、そう思った。救いを求めているうつ病患者の人にも、うつについての体系的な知識を得たいという人にも役に立つ本だといえるだろう。

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