善悪の彼岸 (光文社古典新訳文庫) の感想

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参照データ

タイトル善悪の彼岸 (光文社古典新訳文庫)
発売日販売日未定
製作者フリードリヒ ニーチェ
販売元光文社
JANコード9784334751807
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門

購入者の感想

〇本書でニーチェは、普段当然と受け止めて疑いもしない価値、概念、事象について、その表面を引きはがし、過去の歴史をあばいて、実は全く別の見方があることを提示する。その新たに提示された見方は、ある面では真実であり魅力的ではあるが、そのまま受け入れるにはあまりにも苦く強烈である。つまり、この本は読者の価値感を大きく揺らがせ刺激する、思考をオープンにする本だ。しかし、ゆらがせた価値観に代わる世界を提供することはできていない。根っからの破壊者である。惰眠をむさぼる精神を覚醒させるにはちょうどいいのかもしれないが、読者としては欲求不満に陥る。

〇例えば、哲学者は、真実を明らかにしたいのだが、どんなに精進しても、自らの民族の物語、個人の物語、母国語の文法からは自由になり切れないと言う。例えば、本来人間には格差があるべきものなのに民主主義は平等を徹底しようとする、これはすなわち弱弱しい家畜の思想が社会の主流にすることだと言う。そして新しい哲学者たる自分は、かかる民主主義や家畜の哲学とは正反対の存在だと言う。

〇また宗教については、宗教は支配者と被支配者を結ぶきずなであると言う。宗教は、強き者をくじき、弱き者を助け、虐げられたものに光をあてて価値あるものであるかのように見せ、人々(ヨーロッパ人)を劣悪な人種にしてしまったと言う。

〇ニーチェは理想的な最強の人類(それ自体仮想の存在であるが)の視点にたって、宗教、思想、政治、社会を批判する。それが新しい見方を提示する手法なのだろう。そして、自ら恃むところのある若い人々は、かかるニーチェの視点を身近に感じ、その議論に惹かれてニーチェを愛読するのであろう。ニーチェは若者が好む思想家ではないか。老齢にさしかかった私には、空しく聞こえる。

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光文社から発売されたフリードリヒ ニーチェの善悪の彼岸 (光文社古典新訳文庫)(JAN:9784334751807)の感想と評価
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