自由貿易という幻想 〔リストとケインズから「保護貿易」を再考する〕 の感想

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タイトル自由貿易という幻想 〔リストとケインズから「保護貿易」を再考する〕
発売日販売日未定
製作者エマニュエル・トッド
販売元藤原書店
JANコード9784894348288
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

 自由貿易が本当に経済的にメリットのあるものかどうかは、E.トッド氏ご本人が本書で語っている通り、分析対象国が自由貿易と保護貿易の間を移行する過程を計量経済学的手法で観察することが必要である(p.79-80)。そして、ご本人は自分にその能力はないと潔く仰っているが(p.80)、どうせトッド氏以外の論者の文章を沢山集めるなら、そういう計量経済学的なハードな論文も本書は1本くらい入れておくべきだったと思う。また、トッド親子以外の文章は、反TPP/新自由主義/(新)古典派経済学の紋切り型のような退屈な文章も含まれるので、総合点は渋めにつけた。

 以上のようなケチはつけたものの、経済史・経済学説史の観点からの情報は中々興味深い。例えば、ドイツの近代史から保護主義=排外主義というイメージが強いが、歴史的には自由貿易論の方が(特に米英の)砲艦外交に積極的に利用されてきたこと、保護主義と政治的自由主義は必ずしも背反せず両立してきたこと、国内労働者の利益を確保するために左派政権が外国人労働者排斥を行った19世紀フランスの経験(=左vs右という単純化した区分が、どれだけ意味がなく有害かということを良く教えてくれる歴史的事例だ)などは、大学受験の頃に世界史で勉強して以降、忘却の彼方にあった知識を改めて思い出させてくれた。

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